引き金となるのは、やはりかねてから報じられ続けてきた旧『太陽の党』との分裂のようだ。
「敗戦直後から、石原氏が束ねる東軍(旧『太陽の党』議員)との確執が顕著となり始めたが、もともと旧『大阪維新の会』系議員と平沼赳夫や藤井孝男、園田博之らは水と油だった。そのため、早晩三くだり半を突き付け、分裂するとみられているのです。石原氏が憲法改正に前のめりなことから、今後、東軍は自民党との合流も指摘されているほどなのです」(全国紙政治部デスク)
また、これとは別に在籍議員らの“液状化現象”が起きることも、ほぼ確実とみられている。
「これまで圧倒的な強さと人気を誇った橋下代表だけに、一地方選とはいえ参院選に続き惨敗したことは致命的。今後、議員の離脱が起きることは確実で、起きた場合は、『止められないだろう』と松井幹事長も周囲に漏らしている。だいたい竹山氏が維新を見限ったのも、橋下代表の求心力に陰りが見えたから。今では議員離党の雪崩現象が起きると、予想する者もいるほどなのです」(別の維新関係者)
つまり、早晩、維新はこの分裂と議員離党の液状化現象でガタガタになっていくというわけだが、その一方ではさらに橋下氏を追い詰める事態も、持ち上がっている。
以前から、同氏は衆院の解散時期に当たる3年後を見越し、維新中心の野党再編を目論んでいたが、今回の堺市長選の惨敗でそれが水泡に帰す可能性が極めて高くなり始めているのだ。
前出の政治部デスクがこう明かす。
「維新中心の本格的な野党再編に敵対心を持っていたみんなの党の渡辺喜美代表などは、堺市長選の惨敗ぶりに小躍りしているという。今後は、みんなの党と海江田万里代表率いる民主党を中心にした再編ペースとなるのは、確実なのです」
もっとも、一敗地にまみれた橋下氏も、この状況にただ手をこまねいているわけではないという。
「確かに現在は肩を落としているが、すでに橋下は水面下で逆襲案を練っていると評判です。維新の幹部筋によれば、対抗策としてみんなの党や民主党の反体制派議員の集結を画策している。江田憲司(みんなの党前幹事長)や離党した柿沢未途(同前政調会長代理)、前原誠司(民主党元代表)らと連携し、分裂や液状化現象が起きた際に合流しようとしているようです。またこれとは別に、親密関係にある菅義偉官房長官と連携。自民党と政策談合し、同党の別動隊として維新の力を温存しようと躍起なのです」(前出・在阪政治部記者)
一地方選の勝敗に端を発したこのチキンレース。負けて“倍返し”を食らうのが、誰なのかが見モノだ。