けさ27日の毎日新聞は民主党の作戦を「新手の牛歩戦術」と報じた。まさにその通り。嫌がらせ以外の何物でもない。
大人げない、時間の無駄、スマートじゃない…などとさまざま批判はあるだろうが、小沢民主党はそれを承知で麻生政権に1発、2発食らわせる必要があった。
国民ウケの悪い定額給付金分を削除する民主、社民、国民新3党提出の2次補正修正案は26日、野党優位の参院本会議で可決。衆院本会議に回されたのち、与党などの反対で不同意となった。
衆参両院で議決が異なった場合、両院協議会を設けて調整するが、話し合いで解決するはずもない。特に予算案などの重要法案をめぐっては、ここでひっくり返るようでは逆に大問題。協議会では、衆参両院の意見調整はまず不調に終わり、憲法60条の規定に基づき衆院の議決が優先される。つまり、麻生首相がこだわる給付金支給を止める手立てはないわけだ。
両院協議会は衆参各院から10人ずつを選出して開会する。ここで、議長をクジ引きで決めるのがミソだった。26日は民主党の北沢俊美議員が議長となったため、時間切れとなる夜遅くまで粘って散会宣言。嫌がらせのボディーブローを打てたのである。
永田町関係者は「各メディアの調査でも給付金が国民に支持されていないことは明白。小沢民主党はこうした問題で麻生政権をとことん追い詰め、ダメなものはダメという不退転の決意を示すことができた。自民党側が議長職に就いていればこうした戦術はとれなかったわけだから、小沢氏はクジ運が強いというか“なにか”を持ってるね」と話した。
結論が出ないまま散会した両院協議会は27日午後から再開予定。規定によって今度は自民党側から議長が選出されることになるため、これ以上の嫌がらせはできない。同日中に政府原案が成立する見込みだ。
次の与野党の攻防の焦点は2009年度予算案。衆院は26日に、小坂憲次議院運営委員長の職権により政府4演説を行う衆院本会議を27日午後に開くと決定している。自民党の大島理森国対委員長は与党単独でも実施する意向を示している。