事の発端は、7月11日から『安全保障関連法案に反対する創価大学・創価女子短期大学関係者 有志の会』が始めた、ネット上の署名活動。8月22日現在、1412名が署名、締め切りの8月26日まで、まだまだ増えそうな勢いだ。
創価学会に詳しい全国紙の社会部記者が言う。
「今回の事態で衝撃的な点が二つある。一つは『有志の会』を立ち上げた呼びかけ人が、学会の最高学府・創価大の教員らであること。二つめは、学会の精神的支柱ともいうべき池田大作名誉会長が自著で集団的自衛権について述べている部分を掲げ、『今回の安保関連法案が学会の平和希求の精神に反するもの』と、強く訴えている点です」
しかし、署名運動が始まるや否や、呼びかけ人らには“仏敵”呼ばわりするメールや、家族に対する嫌がらせなども起きているという。
「これで、心身ともに追い込まれた人もいる。それでも署名が続けられているのは、今回の動きに、一部の学会幹部の強烈な後ろ盾があるからだと見られているのです。それだけ学会内の対立が深刻化しているということです」(同)
安倍首相が集団的自衛権容認への動きを画策する中、昨年から公明、創価学会内部でも「戦争反対」の立場を堅持して政権離脱も辞さない“絶対反対派”と、自公連立維持を重視する条件闘争の“擦り寄り派”の二派に分かれ、水面下で熾烈な内部抗争が繰り返されていた。
「学会の次期会長候補の正木正明理事長と谷川佳樹事務総長も、それぞれの立場で激突していると言われます。正木氏は“反対派”、谷川氏は“擦り寄り派”。しかし、衆院で公明党も納得して法案が通過したということは、学会内部でも対立が和らいだとみられていた。ところが、ここへきて学会内で公然と反対論が出てきたわけですから、まだ決着していなかった可能性が高いということです」(学会ウオッチャー)
事が重大なのは、その対立だけではない。信条、平和論から戦争に心底反対という熱狂的学会員が多数いるということだ。
先のネット反対署名発起人の一人で創価大教員の佐野潤一郎氏や、一部学会関係者などはマスコミの取材に、「来年の参院選で、今のままでは公明党を支援できない。平和の党の原点に戻って欲しい」と反旗を翻している。