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安倍幕府「倒幕」に動き始めた財務官僚

 甘利前経済再生担当相の辞任は財務省が仕掛けた罠。これでいよいよ財務省が安倍内閣倒閣に動き出したのではないか−−。甘利氏が献金疑惑で大臣辞任に追い込まれた1月28日前後、永田町周辺ではそんな噂が駆け巡った。
 政治部官邸キャップが、こう解説する。
 「結果的に甘利氏の疑惑に財務省は関係ないと判明しました。これで、甘利氏失脚で財務省内では密かに小躍りしている人が多い。何しろ、このところ安倍政権は右腕で経産省寄りの甘利氏、元経産官僚の今井尚哉首相秘書官の左腕というふたりが牛耳ってきたなか、その右腕がコケたわけですからね。いずれにしても、財務省が倒閣に密かに動き出したのは濃厚です」

 財務省の最初の敗北は、安倍首相が'14年、'15年秋に予定されていた消費税10%への再増税を'17年4月としたことだ。
 「その年の10月末、日銀の黒田東彦総裁が追加金融緩和したことで、株価は7年ぶりに1万7000円台を突破。円は1ドル=109円から114円へ円安に大きく動き活気を呈した。黒田氏は元財務官。再増税による財政再建の重要性を力説してきた人物なだけに、『日銀の再増税への強力な援護射撃』とも言われ、財務省内には楽観ムードが漂っていた。それが一転、延期となったのです」(経済部記者)

 安倍政権が再増税を延期した最大の理由は景気低迷だ。株価上昇でも、消費税が8%に上がった直後の'14年4〜6月期、GDPは対前期比年率7.3%のマイナス。'14年の7〜9月期も1.6%減少した。
 「景気の大ブレーキに加え安倍政権の目玉閣僚だった小渕優子経産相、松島みどり法相が献金疑惑などでダブル辞任し、政権の信頼が揺らぎ始めた。安倍首相はこの頃、『この景気低迷、財務省は信じられない』と財政政策に不信感を漏らしている。そこで消費税アップの延期を掲げ、それを問う奇策で衆院選大勝利を手にしたわけです」(政治部記者)

 次の財務省の敗北は、昨年の軽減税率を巡る自公の攻防においてだ。財務省は当初、商品購入時のマイナンバーカード提示で食料品の税負担分が払い戻される還付案を検討。極秘裏に政権内部に根回しし、「これで決着できる」と安堵していたという。ところが、この案が報じられるや創価学会婦人部を中心に不満が噴出。その最中、菅官房長官は漆原良夫公明党中央幹事会会長から「軽減税率が導入できなければ連立維持は困難」と通告される有様。
 「慌てた官邸は財務省寄りの野田毅税調会長を秘書の覚せい剤不祥事にかこつけ更迭。還付案を撤回し、軽減税率導入で協議を進めるように指示を出したわけです」(官邸担当記者)
 財務省は軽減税率を泣く泣く承諾。しかも、対象を生鮮品から加工食品まで拡大され、予算1兆円規模という莫大な額で政治決着された。

 財務省が慌てたのは、さらなる安倍政権の動きだ。
 「昨年11月末、大胆な金融緩和と減税での経済成長を重視する若田部昌澄・早大教授、野口旭・専修大教授らが極秘で官邸に召集され、この会合から財務省ははずされた。官邸を出た直後、野口教授らは海外メディアの取材に応じ『消費者物価指数2%と失業率2.7%を達成していなければ増税は延期』と述べた。つまり、官邸は密かに'17年4月の増税延期をも検討し始めたということ。この背後に、経産省を手足に使う今井秘書官、甘利氏の動きがあったといいます」(霞ヶ関関係者)

 甘利氏は'14年秋、安倍首相が会見で「10%増税は'17年4月。そこは再延期はない」と発言した際も、財務省に「再増税が担保されたと思うな」と恫喝を加えていたという。
 「財務省は、放置すれば安倍政権は増税を再々延期する可能性が強く、その是非を問うダブル選挙を仕掛けると読んだのです」(同)

 一方で甘利氏という右腕がこけた今、安倍政権のもう一本の腕である今井秘書官は選挙に猛進中。経産省の“別財布”と揶揄される2兆円マネーを持つ「産業革新機構」を使い、東芝とシャープの救済、経産省主導で新たな電気会社を作り上げようとしている。
 「今井氏は機構に『参院選前にシャープを台湾勢の鴻海精密工業に身売りさせたら従業員の中には路頭に迷う人も出る。そんなことを国がむざむざ見すごすわけにはいかない』とハッパをかけ、さらなる資金の上積みと好条件を提示中だという。財務省は、その裏のカラクリをマスコミにリークし、今井氏ら官邸の無能さの暴露にも躍起です」(霞ヶ関OB)

 加えて、ここに来ての株の大暴落と円高も、財務省にはビッグチャンスだ。
 「安倍首相も急に弱気になり、2月12日には朝一番で田中一穂財務省事務次官、浅川雅嗣財務官が官邸に入り指示を仰いだという。さらに同日午後には黒田日銀総裁が官邸入り。財務省と黒田氏は株と為替で安倍首相を一気に揺さぶり、再増税になびかなければ一気にカタをつける腹のようです」(財務省関係者)

 安倍幕府“倒幕”が刻々と近づいている。

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