これには伏線がある。岩田社長は昨年1月、2期連続で赤字見通しになったことから'14年3月期の営業利益1000億円を“公約”に掲げ、達成できない場合は「経営責任を取る」と踏み込んだ。当時の任天堂は200億円の黒字と予想した営業損益を200億円の赤字に修正したばかり。だからこそ“公約”発言を「不退転の決意」と受け止めたのだが、現実には去年に輪をかけた赤字たれ流しである。
「あの下方修正で株価は大暴落した。去年は円高の影響を受けたとはいえ、円安の今、赤字の山を築いたのは経営トップの無能を意味する。そのA級戦犯の居座りを許したら再建は望めません」(市場関係者)
業績急落の理由は'12年暮れに発売した『WiiU』の不振だ。今期は900万台の世界販売を目指したが、厳しい現実に280万台まで引き下げる始末。ソフトも3800万本の販売計画から1900万本に半減する。
「歴史に残る“屈辱決算”ですから、後継人事が見ものです。オーナーで筆頭株主だった山内溥さん(前社長)が去年の9月に死去し、4人の子供たちが相続しました。長男の克己さん(現・任天堂企画部長)は第5位の株主に浮上しており、第2位から筆頭に躍り出たJPモルガン・チェース銀行が岩田社長を見放して克己さんを役員に担ぎ出し、その後に社長を託すとの驚愕シナリオが囁かれています」(大手証券マン)
起死回生を狙って『スマホでポケモン』−−。かたくなに拒んできた、そんな“禁断の手”を実行せざるを得ないほど、任天堂は追い込まれている。