様々な政治思想や社会問題について語る番組がこのサイトからはたくさん配信されているのだが、そんな中で政治にも社会問題にも触れることがない番組が一つだけ存在している。
批評家の切通理作氏(写真)がMCを務める『切通理作のせつないかもしれない』という番組が、それだ。
この番組は、切通氏が好きな本やずっと読んでいた本の著者に片思いをして、事前の根回しなしでラブコール(番組の次回にゲストで来て欲しいという思いを熱く語る)を贈るという内容になっている。切通氏の思いが届いた作家たちは、次回の放送にゲストとして登場して切通氏とトークを繰り広げることになる。
実は筆者もそんな切通氏のラブコールを受けて、ゲスト出演させていただいた作家の一人なのだが、今回はこの魅力的な番組について、MCの切通氏から直接お話を伺った。
−− 『切通理作のせつないかもしれない』はゴー宣ネット道場から配信されている他の番組と比べると異質な気がするのですが、何故、ゴー宣ネット道場で「せつないかもしれない」という番組が始まることになったのでしょうか?
切通 小林よしのりさんはデビュー作からギャグ漫画を描いていたし、ゴー宣ネット道場にも、公的な話題ばかりじゃなく、振り幅を持たせたかったのだと思います。極端にいえばカメラの前でずっと餃子を食べてるような番組でもいいと言われました。
でも僕は普段内向的な書斎派なので、人前で<笑いどころ>を意図した芸は出来ない。どうしようかと思っていたら、ある人から「普段の切通さんは大人なのに怪獣映画を熱く語ったり、エロ映画で純愛を語ったり、どう考えてもめんどくさい人間と関わってしまうことを大真面目に語っているところが、外から見ると面白いんですよ」と指摘されました。「そうか。普段のまんまやればいいんだ」と。
ただライターとしての取材って、編集者の人たちがお膳立てしてくれるし、あとで話をまとめ直せますよね。でもここでは僕が根回しなしにラブコールを送るので、来てもらえないかもしれないし、僕がつんのめって、トンチンカンなことを言ったり、緊張しすぎてついうっかりボーッとしているのもそのまま流れてしまう。30分間を30分で撮って、それをほとんど編集なしで流そうという試みなんです。
−− 切通さんはこの『せつないかもしれない』という番組が、どんな番組になれば良いと思っていますか?
切通 政治というのは公的なことだけど、この番組は思いっきり私的なことなんです。しかも直接人生の役に立つことではなく、むしろ「なんでこんなアホな、どうしようもないことにこだわってるんだ!?」ってニヤニヤしながら、肩の力をほぐしてくれればと思います。
あと僕はいま46歳なのですが、50ぐらいまでにはワイドショーのコメンテーターになりたいので、動画に馴れていきつつ、そんな自分を売り込みたい。ドン・キホーテ的な野心を感じて頂ければ。
『切通理作のせつないかもしれない』を、まだご覧になったことがないという方は、私的なことに徹底的にこだわった番組の魅力を是非、体験していただきたい。
『切通理作のせつないかもしれない』
https://www.gosen-dojo.com/?page_id=31
(「作家・歩く雑誌」中沢健 山口敏太郎事務所)
参照 山口敏太郎公式ブログ「妖怪王」
http://blog.goo.ne.jp/youkaiou