宝永噴火(1707年)から300年を過ぎ、その“Xデー”は間近といわれている。
「これまでの例に当てはめると、富士山は巨大地震から3年以内に噴火している。3・11の直後、富士市で震度6の地震がありましたが、あのとき噴火しなかったのは奇跡的だったという研究者もいるほど。しかも次回は、相当大規模な噴火になることが予想されます」(防災に詳しいジャーナリスト・村上和巳氏)
降灰のため避難が必要とされた地域は、神奈川県南足柄市や秦野市、静岡県御殿場市、山梨県山中湖村など12市町村。木造住宅が倒壊する恐れがある降灰30センチ以上の地域だ。
宝永噴火と同規模の噴火が起きると、火山灰は偏西風の影響で富士山の東側に広がり、神奈川県小田原市などでは最大50センチもの火山灰が降り積もると想定されている。ほか、相模原市や藤沢市などでは最大30センチ、横浜市や東京、千葉県にかけての広い範囲でも、最大2〜10センチの火山灰が降り積もるという。
「降灰の重さは、30センチが積雪1メートルに相当する。45〜60センチで30%の家屋が倒壊するのです。ただし、これは晴れていた場合で、雨で水分を含んでいると重量は1.5倍になり、さらにこの確率は上がります」(同)
しかも冬の噴火の場合、熱で雪が解けて大量の土砂が流れる「融雪型火山泥流」が起きる可能性もあるのだ。
「2センチ降灰すれば畑作は1年できなくなり、稲作は0.5センチでダメになる。神奈川、東京、場合によっては千葉、茨城の農業も全滅ということになりかねない。輸送も困難になり、食糧事情が一気に悪化するのは火を見るより明らかなのです」(同)
状況によっては、想定をはるかに上回る被害が出そうだ。