国有地売却を巡り、当時、財務省理財局長だった佐川宣寿氏は国会答弁で「記録が残っていない」「資料はすべて廃棄した」などと安倍首相を擁護。結果、7月5日付で国税庁長官に栄転した。
「籠池夫婦が詐欺容疑で逮捕ってかわいそうだろ。これじゃ、トカゲのシッポ切りじゃん。腐ってるよな。安倍首相夫婦はどうなっているんだよ」
あのビートたけしも、こう怒りのコメントをする森友学園問題。大阪地検特捜部は8月21日、国の補助金をだまし取った疑いで逮捕された前理事長の籠池泰典容疑者と妻の諄子容疑者を、大阪府の補助金詐欺などの容疑で再逮捕した。しかし、国有地の大幅値引きで疑惑の目が向けられた安倍首相夫妻はもとより、国会答弁で安倍政権をかばい続け、国税庁長官に昇進した佐川氏への批判は広がり続けている。
「ところが、佐川氏は就任会見を開かないどころか、マスコミの前に姿を見せず逃げ回っている。国税庁長官は定例会見がないだけに、就任した際の会見は徴税に対する姿勢を示すためにも欠かせない。これまで着任後2〜3週間で開かれていたのですが、2カ月が経過しようとしているのに開かれないのは異常なことですよ」(国税庁記者クラブ関係者)
記者クラブでは会見を開くよう再三、国税庁に要請しているが、国税庁広報は「就任会見の予定は未定」と繰り返すばかりだという。
「森友問題の質問が集中するのが目に見えているから開かないだけ。おそらく事務方がお願いしても、佐川氏は聞く耳を持たない。“貝になったまま”このままうやむやにするつもりでしょう」(同)
しかし、そうは問屋が卸さない。自民党の石破茂元幹事長はTBSの番組で、佐川氏について「地方で“税金を払いたくない”という人が出てきた。国税庁長官は“皆さん、払ってください”という立場。それが一切公の場に姿を現さない。納税者1人1人と向き合っているのか」と批判。さらに市民団体『森友・加計問題の幕引きを許さない市民の会』も8月21日、麻生太郎財務相に佐川氏の罷免を求める約1万人分の署名を提出したのだ。
たけしの言うように“トカゲのシッポ切り”で終わらせてはいけない。
「首相を守るため、『あり得ない答弁』を平然と繰り返して栄転した」(自由党・森ゆうこ氏)
「事実に背を向けてでも、官邸の意向に従っていれば出世できるというあしき前例になる」(閣僚経験者)と、国会内でも四面楚歌の状態だという。当たり前だ。それまでして権力にしがみ付きたいか、保身がそんなに大事か「恥を知れ!」。