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ガンを相手に戦う女子プロレスラー亜利弥' 賛否両論の中ラストゴング決行「絶対に自分の2本足でリングを降ります」

 「私がいま闘っているのは、最強の相手。その名は、ガンです」。キャリア21年の現役女子プロレスラー・亜利弥'(ありや)が、ありのままを口にした――。

 15年2月、乳ガンで「ステージIV」と宣告され、担当医からは「桜が散るまでもたない」といわれた。同年末には、頚椎、胸骨、背骨への骨転移も発覚。両肺への転移も見受けられた。

 それでも、現役選手であることにこだわり、「プロレスラーとしての体作りができなくなるのは困る」という理由で、免疫力が下がる可能性がある抗がん剤治療を拒否。この間、定期検診、薬やサプリメントの服用、食事、緩和ケアなどの免疫療法を駆使。自己の治癒力を高めつつ、いまも身体の痛み、薬の副作用と闘っている。

 そんな彼女が4月7日(金)、東京・新宿FACEで開催する自主興行で、ついにラストゴングを鳴らす。昨年1月には、デビュー20周年を祝した自主興行を開催して、タッグマッチながらも試合に出場。最後まで自分の足で立ち、リングを降りている。そのころから今も変わらずステージIVで、“末期”に相当。転移箇所は7か所に及ぶが、昨年から腫瘍マーカーの数値は下降。すでに、“余命宣告”は撤回されている。

 それでも、ファイナルリングを迎えるにあたっては、賛否両論ある。「20年好き勝手にやってきたんだから、最後まで貫き通せという、賛成の声はあります。でも、お医者さまからは、“なぜそんな危険を冒すのか。リスクと自分の想いを天秤にかけるのか”と、否の意見をいわれました」。

 医師としては当然、GOサインを出せない。大きな理由としては、頚椎への転移が見受けられるため、衝撃によって動き、呼吸中枢が停止すると、最悪の場合は即死・半身不随も考えられるからだ。さらに、肺への転移もあるため、過剰な呼吸にどれだけ耐えられるかという難題も抱える。

 「そういうアクシデントも考えつつの試合ですが、起こさないのがプロ。対戦相手に遠慮されるのは恥ずかしいので、大丈夫といえる体作りをして、信頼してもらえるように練習します。絶対に自分の2本足でリングを降ります!」と、力強く約束する。「1日2時間まで」と決めて、すでに毎日ジム通い。温浴療法で身体を温めることを中心に歩行、ランニング、有酸素運動ができるまで、身体能力を高めている。

 「自分なんか平々凡々なレスラーでした。でも、すべてのジャンルで挑戦する場を与えてくださった方、応援してくださったみなさんに、感謝の気持ちを伝えたい。“ステージIVなのにあんなにがんばっちゃって、バカだねぇ”なんて笑ってもらえたら、うれしい」

 吉本興業(当時)が女子プロ界に初進出した96年4月、新団体「吉本女子プロレスJd'」(解散)でデビューした小山亜矢(本名)。その後、“デスマッチの盟主”大日本プロレス、神取忍率いるLLPW(現LLPW-X)などに属したいっぽうで、闘いの幅を総合格闘技、ボクシング、キックボクシングに拡充。マット界に大きく貢献した。

 ガンという人生最大の難敵を相手に、苦渋の引退。しかし、愛情と心血を注いだリングに別れを告げる最後のときまで、“現役ファイター・亜利弥'”は健在だ。(伊藤雅奈子)

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