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ワッハ上方移転縮小問題で、橋下知事説教役に島田紳助浮上

 府財政再建のため上方お笑い文化の象徴である大阪府立上方演芸資料館(ワッハ上方)を移転縮小する方針を崩さない橋下徹大阪府知事(38)に対し、業界関係者から「恩知らず」と厳しいバッシングの声が上がっている。府が家賃を払う吉本興業の大出血譲歩にも頑として譲らないためだ。そこで橋下知事の説得&説教役として、吉本の大物タレント島田紳助氏(52)の“出馬”が期待されているという。

 橋下氏にとって紳助がテレビ界の“育ての親”であることは間違いない。日テレ系「行列のできる法律相談所」にレギュラー出演時、紳助は何かと子だくさんネタや下ネタなどで突っ込み、弁護士らしからぬ“茶髪の風雲児”のイメージをつくり上げるのに一役も二役も買った。
 その紳助はいまや吉本を引っ張る大物芸人。ワッハ上方をめぐる橋下氏の態度は、恩人の顔に泥を塗りたくるようなものだという。
 「橋下氏は、テレビ出演で知名度を上げたからこそ知事になれた。紳助にイジられて“お笑い100万票”を味方につけた。知事になった途端、手のひら返しはいただけません」(民放関係者)
 ワッハ上方は大阪・難波にある吉本興業所有のビルに入居しており、橋下氏は2007年度に府が約4億2800万円の賃料などを拠出していることを「高額すぎる」と指摘。財政難の折、移転の検討が始まった。
 慌てた吉本興業の吉野伊佐男社長は5月29日、わざわざ橋下氏に面会し「存続を考えてほしい」と頭を下げた。移転のカギとみられた賃料についても50%カットを提案。ところが府がこのほど公表した「財政再建プログラム案」では移転が動かなかったのだから関係者が怒るのも無理はない。
 ワッハ上方の伊東雄三館長は「初めから結論ありきだ」とカンカン。吉本興業は「一方的に発表された移転・縮小の決定は極めて遺憾」などとする社長名コメント(別項)を発表した。
 存続派の“刺客”には、作家の藤本義一氏をはじめ、喜劇脚本家の林千代さん、漫才コンビの海原さおり・しおりさん、漫才師の喜味こいしさんと、お笑い界の大御所がずらり。義理堅く礼節を重んじる性格で知られる紳助が一肌脱いでもおかしくない。
 一方、橋下氏は府知事選出馬を表明した際に紳助ややしきたかじんに背中を押されて腹を固めたなどと明かしており、タレント業にとどまらぬ大先輩と位置付けている。紳助には選挙演説のアドバイスまで受けていた。
 「橋下知事は若い割に相当な頑固者で、言い出したら外部の意見に耳を貸さない印象が強い。吉本のためにも紳助が問題解決に乗り出すのがベスト。さすがに恩人の“説教”はこたえるんじゃないか」(業界関係者)
 宮崎県の東国原英夫知事(50)がいまも師匠のたけしに頭があがらないように、橋下氏は紳助に逆らえないだろうというわけ。こんな話もある。
 「4月下旬オンエアの『行列のできる法律相談所』で橋下氏が知事就任後、初めてゲスト出演したとき、紳助が『府議会議員の嫌われ者です』などと茶化しながらスタジオの爆笑を誘ったんです。真骨頂は『橋下知事が結果を出せなかったときは、4年後私が大阪府知事になります!』とやったこと。でたらめな公約まで挙げ、『こんなふうにされたくなかったら、あと3年半見守りましょう。アカンかったら4年後は私が!』と繰り返した。これほど嫌みのないエールは見たことがない」(民放関係者)
 橋下氏はこのやりとりの後、「ワッハNO!」を貫いたことになる。果たして紳助の胸中やいかに?吉本興業は本紙の取材に「私どもはコメント(別項)以上のことは答えていない」と素っ気なかった。

○ワッハ上方移転縮小問題
 府の財政難から移転縮小される見込み。なんばグランド花月の真向かいに1996年開設。上方演芸の貴重な資料を展示し、テレビ・ラジオの演芸番組の映像&音源計1900本を視聴する設備や大ホールを備える。
 賃貸借契約が2011年3月まで残るため、府はその後に移転する方針。吉本の最新提案は、残る契約期間を前倒しして、すぐ賃料を半額にすることを柱としている。
 橋下氏は7月1日開会の臨時府議会に移転縮小案を提出予定。2008年度補正予算案は前年度比3300億円削減の緊縮型。ワッハ上方は「移転先も聞いていないし、現場のスタッフとの話し合いもない。非常に無責任」(広報)と憤りつつ、逆ギレを警戒して「知事に再考をうながしたい」(同)と慎重な姿勢。20日には知事あてに現地存続を訴える上申書を提出する。
 府生活文化部文化課は「吉本興業さんには非常に大胆なご提案をいただきましたが、その賃料すらいまの財政難では厳しい」と話す。
 橋下氏はこのほど、8月から給与カットされることに反発した府職員に「私のやり方が合わないなら職を変えて」と言い放っている。
 府立体育館は逆転存続が固まった。

○吉本興業のコメント
 そもそもワッハ上方の設立は「『笑い』という大阪を中心にした上方の伝統文化を、恒久的に後世に残せる施設をつくりたい」という府の計画が発端。その趣旨に賛同して府の協力要請を受け、用地購入や、府の要求に従ったビルの設計・建築を行い、内装工事でも資金面を含め多大な協力をした。度重なる要請により12年間で都合5回の賃料引き下げにも応じた。
 加えて府財政再建プログラム案や府生活文化部の意向を尊重して真摯に交渉に応じ、5月29日には当社によるホール運営や賃料値下げの具体的提案をさせていただいた。かかる経緯があるにもかかわらず府より一方的に発表された移転・縮小の決定は極めて遺憾であると言わざるを得ない。存続に向け可能な限り交渉を継続したい。

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