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“特許開放”失敗トヨタの誤算

 トヨタ自動車が派手にぶち上げた燃料電池車(FCV)の特許無償開放が、一転して“幻の美談”に終わりそうだ。トヨタが唐突に5700件の特許開放を渋り出したわけではない。同社の「この指とまれ」の期待とは裏腹に、業界内では「誰も名乗り出ないのではないか」との観測がにわかに強まってきたのだ。
 「ホンダは来年FCVへの参入を表明しているが、技術力では『トヨタ以上』との自信があり、特許開放に飛び付く気配はサラサラない。日産も当面は電気自動車(EV)に全力投入の構えです」(ディーラー関係者)

 FCVは世界的に見てもトヨタが先行し、これをホンダが追い掛け、さらに一歩遅れて日産が追随する図式。欧米メーカーは大きく遅れている。ところが今年の世界販売でトヨタを抜いて世界一に躍り出る可能性が強い独フォルクスワーゲンは、EVとPHV(プラグインハイブリッド)を環境車の本命と位置付け、FCVについては「ガラパゴス症候群としか見ていない」と中堅メーカー幹部は打ち明ける。自国のみで普及し、独自の成長を遂げるが、世界的な普及は望めそうもないとの厳しい見立てだ。中堅メーカー幹部が続ける。
 「トヨタは無償開放を東京五輪が開催される2020年末までと限定している。時期を限定すれば各社が群がり、トヨタ基準が一気に世界中に広まるとにらんでのことです。しかしホンダにせよ日産にせよ、ライバルはトヨタの腹の内をお見通し。もし一社も名乗り出なかったら豊田章男社長は天下の笑い者になります」

 FCVの普及に欠かせない水素ステーション建設では、ホンダ、日産はトヨタと協調する構えを見せ、国土交通省の顔色を窺っているという。混沌とする“未来”の主導権争いは、今後もしばらく続きそうだ。

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