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愛知県西三河地方の怪異「船着場の怪」

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画像はイメージです。

 江戸時代、長野県から愛知県を流れる矢作川は物資交流の大動脈となっていた。現在の豊田市扶桑町の辺りが舟運の終着地で、ここからは馬で物資が運ばれていた。江戸時代の頃の矢作川は水量も豊富で、流れも急流であったため、水難事故も多かった。

 昔、矢作川に近い扶桑町には大きな船着場があった。真夜中のこと、ある船頭が材木筏(いかだ)を漕いでいると、船着場の辺りを通過した時、不気味な泣き声がした。声の主は分からないが「助けてくれ」と言っていた。仲間の老船頭が言うには、「それは川坊主だ」という。川坊主は仁王像ぐらいある化物だといわれていた。

 また、船着場の辺りは大きな渦がたくさんあり、水死者や行方不明者が続発していた。つい最近も親子が流されて、死体も上がらなかった。このように水難事故で亡くなった者たちの救いを求める声だという噂も流れた。

 ある若者が川坊主の正体を確かめようと、夜中に筏を漕いでみた。すると、船着場の辺りでガガーッと川坊主が現れ、「助けてくれ。助けてくれ」と不気味な声が聞こえてきた。若者は急流の中でジッと我慢するしかなかった。船着場を通過すると、川坊主も不気味な声も消えていた。若者は命からがらに家に逃げ帰ったという。それ以来、誰も夜、筏を漕ぐ者はいなくなった。

 ある日のこと、船着場の主人の夢の中で、「お地蔵様を建てて、お参りしなさい」というお告げがあった。早速、主人は船着場の見える辺りにお地蔵様を建てて、毎日お参りするようにした。それ以来、川坊主も現れなくなり、「助けてくれ。助けてくれ」という不気味な声も聞こえなくなったという。

(写真:「矢作川」愛知県豊田市)

(「三州(さんず)の河の住人」皆月斜 山口敏太郎事務所)

参照 山口敏太郎公式ブログ「妖怪王」
http://blog.goo.ne.jp/youkaiou

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