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1基5000億円 福島事故後初 原発輸出で先陣を争う三菱重工、日立、東芝 あきれた商魂(2)

 原発事業売上高1兆円の大構想を掲げた東芝は3月末、米国子会社ウェスチングハウスがチェコの原発増設計画の入札で最上位の評価を受けた、と発表した。東芝が受注を目指すのは、チェコ電力が計画しているテメリン原発3、4号機の増設で、最後まで争ってきたロシア企業を大きくリードしたことから、「嬉々として発表した」と情報筋は打ち明ける。
 「これで優先交渉権を獲得した後、首尾よく商談成立にこぎ着ければ、日本のメーカーとしては福島での事故後で初めての輸出になる。しかもフィンランドでは既に原発の優先交渉権を確保しており、このどちらかが三菱重工に先んじれば『福島事故後初めて』の勲章がつかめる。お互いがライバルだから先陣争いはハンパじゃありません」

 東芝は'06年2月、6200億円の大枚を投じて原子力プラント大手のウェスチングハウスを買収した。しかし、この買収で大本命と目されたのは、同社と古くから取引があった三菱重工だった。当時、原発ビジネスを成長戦略の要に据えた東芝は「相場の2倍を投じることで三菱重工を蹴落とした」(情報筋)のである。その東芝がトルコでは東電とタッグを組んだことから惨敗し、三菱重工がニンマリしたのだから「因果は巡る」とは、よくぞ言ったものである。

 日立も負けていない。昨年6月にはリトアニアでの原発受注をほぼ確実にし、その余勢を駆って、脱原発に舵を切ったドイツの電力会社から英国の原発事業会社ホライズンを850億円で買収。海外での原発ビジネスに前のめりだ。
 一時はリトアニアの国民投票で建設反対派が多数を占めたことから、建設そのものの雲行きが怪しくなったが、ここへ来てその投票に対しては、反対派が仕掛けた巧妙な情報操作が指摘され始めている。
 「日立がホライズンを買収したのはリトアニアでの商談成立をにらんでのこと。これにはグリバウスカイテ大統領が、早い段階でGOサインのお墨付きを与えていたとの情報さえ飛び交っている。従って仕組まれた国民投票が覆り、原発推進に突き進む可能性がある。そうなれば東芝、三菱重工を尻目に日立が原発輸出で先陣を切る公算が強まります」(業界関係者)

 各社がいまだに原発ビジネスに血眼になる大義は「技術の伝承、不慮の事故への対応」だ。しかし「目の前に金儲けのチャンスがゴロゴロしているから」と言った方が、はるかに分かりやすいのである。

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