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大相撲 9・3秋場所特集 “ミニ朝青龍”と“ミニ琴欧洲”

 大相撲秋場所は9月13日に両国国技館で初日を迎えるが、なんとも面白い力士が2人いる。“ミニ朝青龍”といわれる新十両の星風(25=尾車)。もう一人は新序ノ口の碧山(あおいやま・23=田子ノ浦)というブルガリア出身力士だ。これがまた“不良”と“優等生”と正反対。さてさて…。

 同じモンゴル出身で顔つきも、態度も、かの悪名高き横綱朝青龍にそっくり。大相撲界関係者からひそかに”ミニ朝青龍”と呼ばれている力士がいよいよ秋場所、新十両として土俵に上がることが決定。「何か問題を起こさなければいいが」と関係者の不安をかきたてている。
 相撲協会は秋場所の番付編成会議で新十両3人、再十両2人を決め、発表した。問題の力士は、新十両の1人の星風。入門までのキャリアはなかなかのもので、15歳のときに大関琴光喜の母校でもある鳥取城北高にモンゴルから相撲留学。7年前の九州場所から尾車部屋に入門、初土俵を踏んでいる。
 「最初は先輩の琴光喜がいる佐渡ケ嶽部屋に入門する予定だったんですが、ちょうど琴欧洲の入門とぶつかったため、1部屋1人という外国人枠に引っ掛かってはみ出てしまい、先代佐渡ケ嶽(元横綱琴桜)がまな弟子の尾車(元大関琴風)に譲り渡したんです」と佐渡ケ嶽部屋関係者は話している。
 入門する前から注目の存在だったのだ。出世が遅れたのは、181センチと身長はまずまずだったが、体重が114キロとなかなか増えなかったことと、気性が激しくて相手をブン投げないと気が済まないところがあったため。
 この気性の激しさは、ひょっとすると身内の不幸が相次いだためかもしれない。入門して1年目に、息子の出世を心待ちにしていた母親のバストフさん、4年前には父親のボルドさんを脳こうそくで亡くし、天涯孤独に。

 以来、星風の勝利に対するこだわりは一気にエスカレートし、マワシを締めると朝青龍も顔負けのやりたい放題という“札つき”力士となってしまった。
 去年の夏場所には、相手が「待った」をしているにもかかわらず、ワザと強烈なカチあげを見舞い、取組後、審判委員室に呼び出され、こってり脂を絞られている。十両昇進を決めた先場所12日目の保志光戦でも、意識的に早くつっかけて「待った」を誘い相手を幻惑し突き落として勝った。
 もしこんなことを、ファンの注目度が違う十両の土俵でやったら、批判の集中砲火を浴びるのは確実。星風は「これでやっと両親にうれしい報告ができます」と目をうるませたが、師匠の尾車親方は祝福どころか、大きな不安を抱えてしまっているのだ。さっそく星風を捕まえて「上にあがれば、何かしでかしたときの反響も大きい。これからは愛される相撲を取れ」と注文をつけた。
 大先輩の朝青龍との“トラブル・タッグ”で秋場所は騒々しい15日間になりそうだ。

 大相撲で大関琴欧洲に次ぐ史上2人目のブルガリア出身力士、碧山(あおいやま)=本名ダニエル・イバノフ、田子ノ浦部屋=が、先場所の前相撲でデビューした。碧眼(へきがん)の23歳は「けいこを積んで大関を目指したい」と目を輝かせる。
 2年前にアマチュア相撲を始め、2008年に重量級の国内王者に輝いた。190センチ、146キロで得意は右四つ。恵まれた体を生かした寄りが持ち味。先場所は3日目から始まった前相撲で「とにかく前に出る」という愚直な攻めで3戦3勝。新序出世を決め、秋場所から番付にしこ名が載っている。
 琴欧洲と同じ母国のスポーツアカデミー出身。12歳で始めたレスリングでは国内トップクラスの選手だった。転向のきっかけは「大関の姿をテレビで見てあこがれた」から。動画配信サイトで大関の映像を検索し、角界入りの夢を膨らませてきた。
 遠く欧州から来日して3カ月。食生活では生魚など食べられない物も多く、また割りの痛さに涙を流すこともある。それでも今は出世を夢見てけいこに励む毎日だ。師匠の田子ノ浦親方(元幕内久島海)は「技術がある本格派の力士に育てたい」と期待を込める。
 来日に一役買った琴欧洲は「あとは本人次第。どれだけ努力できるかだね」とエールを送っている。

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