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揺れる汚染水放出問題

 東京電力福島第一原発の小野明所長が7月3日、福島県楢葉町の福島復興本社で記者会見。「作業員の環境を改善したい」と述べるとともに、放射能汚染水の増加対策として原子炉建屋地下で汚染される前に地下水を汲み上げ海に放出する計画を強調したが、地元漁業者らの同意が得られず難航している。
 「5日には、福島第一原発敷地内の海側の観測用井戸水で、ストロンチウムなどのβ線を出す放射性物質濃度が、1リットル当たり90万ベクレルの高い値が検出されたんです。ストロンチウムは放射性物質の中でも骨のガンを誘発する猛毒中の猛毒。1日に採取した1リットルあたり4300ベクレルがこれまでの最大値でしたが、その約200倍の値です」(サイエンス記者)

 これでは、地元住民が地下水の放出に難色を示すのも当然の話だ。
 「第一原発周辺の土壌汚染は凄まじく、今後も天文学的な数値が出る可能性があると思います。地下水の海洋投棄なんて考えられないこと。被災地の地元民は帰還を考えているようですが、実際、現状では不可能な話です。この際、第二原発に汚染水のタンクを置くとか、周辺を原発関連の最終処分地を建設するとかしないと、この問題に決着はつきません」(ジャーナリスト・窪田順生氏)

 折しも3日には、相馬双葉漁業協同組合が相双沖で実施している試験操業で、沖合タコかご漁の今季初水揚げが行われ、放射性物質の検査後、県内のほか仙台や築地などへ出荷された。
 「現時点でミズダコやツブ貝は食べられるが、周辺の魚は放射性物質の生物濃縮が進んで食用にはならない。そのうえ放出を認めるのは、漁を放棄するのに等しい自殺行為ですよ」(前出・サイエンス記者)

 安易な選択が命取りになりそうだ。

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