1月に入り千葉県東方沖では小規模な地震が相次ぎ、2日と7日には千葉県で震度3の揺れを観測している。この付近は、陸側のプレートの下に海側からフィリピン海プレートが沈み込んでいるが、房総半島に設置しているGPSの観測点で、地盤が通常とは逆の南東に僅かにずれ動く変化が観測されたのだ。
ずれ動いた量は、5日間(2日〜10日)で最大およそ6センチと推定されている。
「スロースリップが起きると、周辺で地震活動が活発になることが知られています。例えば、'07年8月には千葉県で震度5弱の揺れの地震が発生、また、'11年11月には、スロースリップが収まって1カ月後に同じく千葉県が最大震度4の揺れに見舞われている。また、東日本大震災の時も同じ現象が起きています」(サイエンスライター)
武蔵野学院大学特任教授の島村英紀氏が説明する。
「スロースリップは観測機器の発達で最近わかった地殻変動で、昔は指摘されることはなかったものです。確かに大地震の前に観測されると言われていますが、起きたからといって必ず巨大地震が発生するとは限らない。ただしノーガードでいいわけではなく、当然ながら慎重に監視を続けるべきです」
一般的にスロースリップは、それ自体が直接被害をもたらす類のものではない。しかし、これが前ぶれとなり、房総沖で海溝型の巨大地震が発生する場合も十分に考慮しておかなければならない。
「古来から房総沖では度々海溝型の巨大地震が起こっています。現代の房総半島は江戸時代などと違い、海岸線に鉄道が走り、大勢の人が住んでいる。場合によっては10メートルクラスの大津波が押し寄せる可能性もあるため、その時は甚大な被害が出るはずです」(島村氏)
不気味過ぎる兆候だ。