「いろいろな報道によって政策が有権者に届かなくなっている。申し訳ない」
「言葉一つ間違えたらすぐ話になる。私らを落とすなら落としてみろ!」
選挙終盤を迎え自民党候補者らの応援に駆けつけた安倍首相、二階俊博幹事長らは、敗北濃厚がマスコミのせいだと言わんばかりのヤケッパチ演説を繰り返し、予防線を張っていたが、自民党内の反安倍中堅幹部は「いくらマスコミ批判をしても結果は結果だ。今夏にも安倍政権は終焉を迎える」と断言する。
「理由の一つは、数々の問題が払拭されないこと。都議選に負けた最大の要因は、都議会自民党のせいでも、マスコミのせいでもない。森友学園、加計学園の疑惑、豊田真由子議員の元秘書に対するハゲ暴言、稲田朋美防衛相の失言と、すべて安倍政権の不祥事が足を引っ張った。しかも、それらは何一つクリーンにしていない。自民党都議関係者や国会議員の間でも、不満が鬱積していて爆発寸前だ」(同)
また、この幹部は「都議選敗北で政局を敏感に嗅ぎ取った麻生太郎財務相が、動き出しつつある」と言い、安倍政権終焉の理由の二つ目として、安倍首相の政治家としての“嗅覚のなさ”を指摘する。
麻生氏と言えば、都議選前から自身が率いる麻生派(為公会・44人)と、山東昭子元参院副議長が会長の山東派(番町政策研究所・11人)、それに谷垣禎一前幹事長の谷垣グループから離脱した佐藤勉衆院運営委員長らが結成した天元会が一緒になり、安倍首相出身の細田派(清和会・97人)に次ぐ60人規模の新派閥を7月早々に結成する。
「これは当然、チャンスがあれば麻生氏がポスト安倍として再登板するための動き。麻生氏の予測通り、安倍内閣の支持率は急落し、都議選で大敗したことで一気に現実味を帯びてきた。当初は安倍一強状態で“まさか”との声が大半を占めていたが、そこは政界で、数々の苦杯をなめてきた麻生氏の読みが当たったということ」(同)
一方の安倍首相と言えば、5月、父の故・安倍晋太郎氏を偲ぶ会の席上、「安倍四天王をつくりたい」などと、稲田氏、松野博一文科相、下村博文元文科相という具体的な名前を挙げたという。つまりは、ポスト安倍候補への布石だ。
「当時は、なぜこの3人なのかと、みんな首をひねったものです。案の定、揃いも揃って泥まみれになった。松野氏は当事者ではないにしても、加計学園の疑惑で文科省内の文書確認のため右往左往。下村氏も『週刊文春』に200万円の闇献金疑惑が報じられ、加計問題の渦に放り込まれてしまった」(自民党関係者)
下村氏は会見を開き、報道について「まったく事実無根」とし、都議選に向けた「選挙妨害」だとしていたが、全国紙政治部記者はこう言う。
「下村氏は200万円について、11人によるパーティー券の買い上げによるもので、収支報告書に記載の必要がない20万円以下、それを加計学園の秘書室長からまとめて受け取ったものとしている。これが事実であれば、確かに政治資金規正法上は問題ないかもしれない。しかし、献金を受けた当時、下村氏は文科相。しかも、加計学園から獣医学部新設の申請が出されていた時期です。そのタイミングで加計学園関係者が集めた献金を持参し、下村氏の事務所を出入りする。しかも、11人の素性は明らかにされていない。いずれにせよ、グレーな行為と指摘されても仕方がありません」