9月29日に投開票を迎えた大阪府の政令指定都市・堺市の市長選は、大阪維新の会が擁立した西林克敏候補(43)が大惨敗。自民、民主が推す現職の竹山修身市長(63)に5万8000票の大差で完敗したが、これが原因で「いよいよ、維新の瓦解が始まる」との声が維新内部からも噴出しているのである。
府議会関係者がこう話す。
「そもそも、今回の騒動は4年前に維新の全面支援で当選した竹山氏が、大阪都構想に反旗を翻したことが発端。橋下代表は恨み骨髄の“竹山潰し”を行ったが、『都構想で吸収合併され、大阪市の莫大な負債を背負わされてはたまらない』とする堺市民の怒りを買って撃沈した。そのため、維新内部には『もはや大阪都構想の実現はムリ』との声が蔓延。今後、組織が急速に空中分解する可能性が確実視され始めたのです」
また、在阪の政治部記者はこう語る。
「今回の惨敗ぶりは、見るも無残な状況だった。竹山殲滅を目指す橋下は、読売テレビの人気アナを擁立しかけたが、すげなく断られて維新幹部の西林氏を擁立したほど。また、『堺をなくすな』と竹山氏が郷土意識を駆り立てると、『堺なくなる詐欺だ!』『20年後に大阪五輪を招致』などと応酬。さらに、石原慎太郎共同代表が『選挙に負けても橋下代表は辞めさせない』と煙幕を張る始末だった。その対応はまさに後手後手で、この不満が維新内で爆発しかかっているのです」
要は、今夏の参院選に続き、「攻めには強いが守りには弱い」橋下氏の政治感覚の無さが露呈しまったことから、組織内の不満が一気に増幅。今後、内部分裂が起こる可能性が極めて高まっているのである。
ちなみに、党内に蔓延する不協和音は、すでに橋下氏も織り込み済み。堺市長選の惨敗時には、「なんで(共同代表を)辞める必要があるのか」と開き直ったが、その裏ではすでに組織内を舞台にした暗闘も始まっているという。
「総力を挙げて“竹山潰し”に奔走しただけに、橋下氏のショックは相当なもの。マスコミには強気の姿勢を見せたが、水面下では犬猿の仲だった平沼赳夫議員らの突き上げにタジタジなのです。また、これに呼応するように『選挙で負けても橋下氏を慰留する』と、伏線を張った石原氏も、一段、距離を置き始めた。これに松井一郎幹事長も大慌てなのです」(維新関係者)