政治部記者がこう話す。
「その先陣を切ったのは、議員を引退した山崎拓元自民党副総裁です。同氏は3月4日にBS日テレの番組に出演。安倍首相が成立を目指す集団的自衛権の行使容認に、『与党に数があるというおごりが見える』と痛烈批判。返す刀で、『同問題は国民の審判を受けていない』と切り捨てたのです」
もっとも、これは影響力を誇示する山崎氏特有のパフォーマンスとの見方もあるが、永田町記者らを驚かせたのは、その発言に続々と長老格の元自民党議員らが追随し始めたことなのだ。
「同じ番組に出演していた加藤紘一元幹事長は『(集団的自衛権の行使は)不安だという感じが国民に残る』と指摘。さらにその3日後には、古賀誠元自民党幹事長がBSフジに出演し、『政権で右傾化が進んでいる』と猛批判。さらに古賀氏は、その裏で現役時代から可愛がっていた野田聖子総務会長と密談。総務会で意見を聞き、集団的自衛権の行使容認にブレーキをかけさせる策を授けたといわれているのです」(同)
だが、気になるのは現役を引退した長老たちが、なぜ揃いも揃って“安倍潰し”に奔走しだしたのかという点だろう。そこにはまさに老獪で、卑しい思惑が渦巻いているようだ。
自民党の現役議員が言う。
「集団的自衛権の話はあくまで口実。狙いはポストと金です。というのも、これらメンバーと青木幹雄元参院会長らは、今も派閥や参院に院政を敷いている。そのため、本格化し始めた夏の内閣改造人事で『派閥にポストをよこせ』と圧力をかけ始めたのです。派閥から閣僚が出れば、さらなる恩恵が受けられる。長老たちの最終的な狙いは、200兆円に及ぶ国土強靭化計画、五輪、カジノ特区構想の莫大な予算だといわれており、野中広務元官房長官などは、さらに中国利権に目を向けているほどなのです」
老いてなお術数を巡らす長老たちには、辟易とするばかりだ。