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触られていないはずなのに触覚を感じる…不思議な「ゴムの手の錯覚」

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 自分の体の機能に異常が無いにもかかわらず、実際とは違う感覚を覚えてしまう「錯覚」。中でも、視覚に対して作用する錯視の中には「長さが同じなのに違って見える」「色が同じなのに違って見える」「動いて見える」など、様々なものがあり、面白さに満ちている。

 さらに、人間の視覚情報と触覚情報の両方に働く錯覚も存在する。それが「ゴムの手の錯覚」だ。この錯覚は、被験者の手のすぐ横にゴム製のよく出来た手の模型を置き、壁で隔て本物の手を隠すことから始まる。被験者の視界からはゴムの手がまるで自分の手のように見える、という状態でゴムの手を筆で触ってみると、被験者は触れられていないはずの生身の手の方にも、筆で触られた感覚を感じてしまうというものだ。つまり、視覚情報に実際の感覚が引きずられて擬似的に同じ感覚を得てしまう、という錯覚だ。

 この錯覚は1998年に発見されたもので、「人が己の体を自分のものだと認知する感覚は、皮膚や関節等の体性感覚と視覚などの情報が統合されたことで得られるものであり、感覚と視覚が一致しない場合は、自分の体でないものも同一と考えてしまう」という説明がなされている。実験中には、被験者が自分の手の場所が解らなくなり、ゴムの手に近いところにあると認識するようになったり、錯覚が起きている最中は皮膚の温度が低下していくといった、「実際の手の感覚が遠くなる」ような報告もされている。
 この錯覚に対する実験は、発表後から現在まで数千の論文で引用され、研究されてきた。現在進行形で研究も行われており、この錯覚は「暗示効果」によるものではないかという説も出てきている。

 ともあれ、この錯覚は現代における意識科学の基礎となりうるものだと言われており、現代ではこの錯覚を利用してリハビリテーションに転用できないか、という研究もなされている。
(山口敏太郎)

参考動画
The Rubber Hand Illusion - Horizon: Is Seeing Believing? - BBC Two
https://www.youtube.com/watch?time_continue=96&v=sxwn1w7MJvk&feature=emb_title

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