「研究には投資や株式のリスク対策とともに、野球への応用も含まれます。これでホークス、東大野球部が大きく変わります。東大OBで元中日選手の井手俊氏を新監督に迎え、2017年秋から続いている42連敗を止め、返す刀で東京六大学の優勝争いに食い込む。日本のAI頭脳の優秀さを示すのに、これ以上の好機はありません」(経産省職員)
ITアナリストは、将棋や囲碁と同様に「投手、打者、走者などのシチュエーションを入力すれば、相当の確率で結果がはじき出され、有効な対処法も瞬時に示されるところまでAIは進化を遂げている」という。
野球のAI活用は、ゲームメーカーのDeNAを親会社に持つ『横浜DeNAベイスターズ』が大きく先行していた。
「球をトラッキング(追尾)して、投手ならスピードや回転、打者なら飛距離や角度などのデータを収集する『トラックマン』の導入が日本の球団でも進みましたが、球界にはデータ解析して実戦で生かす人材が不在。その点、DeNAには優秀なゲームアナリストが多く在籍する。野球とは無縁だった4人が17年にチームを組んでAI技術を活用してデータを解析。ラミレス監督が打順や選手交代の戦略を練るパターンが定着し、奏功しています」(スポーツ紙記者)
これに刺激されたのが、ソフトバンクだった。
「2018年シーズン中から高解像度カメラによって撮影されたデータを一括してAI分析する『野球選手トラッキングシステム』を本格導入して、チーム戦略に活用しています」(同・記者)
3年連続日本一の球団となったソフトバンクは、東大と共同でAI開発に着手したことによって、他球団をさらに突き放すかもしれない。