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飛騨群発地震、伊豆大島沖地震 ストレス限界! 南海トラフXデー(1)

 ゴールデンウイークの最中、あの3・11を思い起こさせる大きな揺れが関東近郊を襲った。5月5日午前5時18分、東京・伊豆大島沖を震源としたM6.0の地震である。しかも、その揺れは東京都千代田区の最大震度5弱を中心に、関西から東北地方まで広範囲に及んだ。
 消防庁の発表によると、この地震により首都圏では転倒や落下物によるケガなどで16人が負傷。気象庁の長谷川洋平地震津波監視課長は、「太平洋プレート内部で起きた地震であり、首都直下地震や相模トラフ沿いの地震との関連性は低いと考えている。念のため、今後数日間は震度3から4の余震に注意してほしい」と述べた。

 不気味だったのは、震源から100キロ近く離れた場所で大きな揺れが起きたことだ。なぜ静岡県ではなく、東京都心で最大震度が観測されたのか。
 武蔵野学院大特任教授の島村英紀氏が説明する。
 「今回の地震の震源は地下162キロと非常に深かった。しかも、陸側のプレートの下に潜り込む太平洋プレートの内部で発生しています。太平洋プレートは非常に硬く、地震の波が伝わりやすいのですが、この辺りは震源の真上にマントルという軟らかい層があるため、震動はその真上の陸側のプレートには伝わりにくいという特徴がある。そのため、揺れが震源上より東側の太平洋プレートに沿って伝わり、千代田区の地盤が弱いせいもあって震度5弱となってしまったのです」

 このような、震源地よりも遠く離れた場所で異常に震度が高くなる現象は「異常震源域現象」と呼ばれるが、そう珍しいことではないという。
 「'07年7月に発生した京都府沖を震源とした地震では、京都では揺れを感じなかったが、東日本で強い揺れとなり、北海道でも震度4を記録しています。さらに、'03年11月に発生した紀伊半島沖を震源とした地震でも、震源に近い近畿地方よりも東日本の太平洋側の方が揺れは大きく、福島県で震度4を観測したほどです」(同)

 気象庁では首都直下型地震とは関連は薄いと発表しているが、本当にそうなのか。島村氏は「引き金にならないとは言い切れない」と指摘し、こう解説する。
 「首都東京の地下は、太平洋プレートやフィリピン海プレート、ユーラシアプレートなどが交差する地点です。今回の地震は首都圏直下型地震とは深さもメカニズムも異なりますが、例えば、ぎゅうぎゅう詰めの満員電車の中で、1人が体を引いたら、支え棒が外れたために他の人のバランスが崩れてバタバタ倒れるという現象を考えてください。約162キロのような深い震源の地震が、その後、浅いところの地震を誘発する事例は少なくありません」

 つまり、今回の地震がきっかけとなって、首都直下の大地震が発生することは十分に考えられるというわけだ。

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