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森永卓郎の「経済“千夜一夜”物語」 国有地たたき売りの闇

 大阪府豊中市の国有地8770平方メートルが、森友学園が新設する小学校用地として格安で売却された問題が、国会で大きな争点となっている。
 この土地は、財務省が9億5600万円と鑑定したが、地下で発見されたごみの撤去費用として8億1900万円を差し引いて、1億3400万円で売却された。
 しかも、この土地の汚染土除去費用として国が1億3176万円を負担しており、日本武道館の建築面積を超える都市近郊の広大な土地が、実質的には200万円で売却されたのだ。しかも、8億円分のごみを撤去するには、大型トラック数千台で運搬しなければならないが、近隣住民はそうしたトラックを目撃していない。

 なぜ、国民の資産が二束三文でたたき売られることになったのか。森友学園が新設する小学校は、瑞穂の国記念小学院という名前が付けられているが、元々は「安倍晋三記念学校」と名付けられ、その名前で寄付金も募集されていた。安倍総理が拒否したため、名称が変えられた。
 また、2月24日に辞任するまでは、安倍昭恵夫人が名誉校長を務めていた。安倍総理は、もし国有地の売却に関与していたら、議員を辞職するとして、関係を強く否定しているが、少なくとも小学校設立の経緯を知っていたことは間違いないだろう。

 実は、新設される小学校は、かなり偏った学校だ。ホームページの教育理念には、次のように書かれている。
 《天皇国日本を再認識。皇室を尊ぶ。伊勢神宮・天照大御神外八百万神を通して日本人の原心(神ながらの心)、日本の国柄(神ながらの道)を感じる》

 また森友学園は、すでに塚本幼稚園という幼稚園を運営しているが、ここで行われている教育がものすごいのだ。教育勅語を暗唱し、君が代を斉唱する。トイレのしつけも厳しく、学校でうんちを漏らした場合は、うんちのついたパンツを丸めて、通園鞄の中に入れて持ち帰らせていた。一方で、家で犬を飼っている児童に対しては、学園長や副学園長が「児童が犬臭い」と非難する文書を保護者に渡し、「犬を処分しなさい」と指導していたのだ。
 また、塚本幼稚園は、「よこしまな在日韓国人・支那人」などと記した文書を保護者に配っていた。これは、「他国を尊重する」と規定した教育基本法に明確に違反する行為だ。運動会の宣誓では、園児に「安保法制国会通過よかったです」と言わせている。

 こうした偏った運営をしている森友学園が新設する小学校を、大阪府が認可するとしたら、それはそれで大きな問題だが、問題の核心は、こうした極端な教育を行う学園に、国有地を二束三文で売却することを決めたのは一体誰なのかということだ。
 10億円近い土地を200万円に偽装するというのは、官僚にとって、とてつもなく大きなリスクだ。それをやらせるのは、相当強い政治家からの圧力しか考えられない。
 国会や地方自治体で勢力を増している右派勢力が、国民の資産を食い物にした可能性が極めて高いのだから、政府の主張する会計検査院の調査ではなく、地検特捜部が動くべき事件だろう。

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