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コンピューターゲームの20世紀 第15回…『頭脳戦艦ガル』

<ファミコン初のRPG…>
 クソゲーの歴史を語る際に、必ずと言っていいほど名前が挙がるゲームが幾つかある。本作『頭脳戦艦ガル』もその一つだが、むしろファミコン初期の作品ということを考慮すると、実はそれなりに良くできたシューティングゲームと言えなくもない。
 ところが発売元のデービーソフトによると、本作は“RPG”に類するらしく、パッケージにも堂々と“スクロール・ロール・プレイング・ゲーム”と書いてある。よく槍玉にあげられるのがこの“ジャンル詐称”であるが、当時はRPGという言葉それ自体が普及していなかったので、当時からそれが原因で批判されていたとは考えにくい。
 むしろ筆者が強く印象に残っているのは、他ソフト、もしくは本体との抱き合わせに使われることが多かったということ。抱き合わせ=ダメなゲーム(当時はクソゲーという言葉が浸透していなかった)というのは、小学生程度の頭でも理解できたものである。だからガルに対しては“つまらないもの”という先入観があったはずだ。こういった事情が、ガル=クソゲーの認識のはじまりなのではないだろうか。少なくとも、当時はガルより酷いゲームなんてそれこそ星の数ほどあったのだから。
 ちなみに筆者の周りでは、ファミコンを所有していた連中の多くが高確率でガルも所有しているという異常な事態が起きていたのだが、裏を返せばゲーム屋はそれだけ多くの在庫を抱えていたのだろう。当然出荷本数もそれなりのはず。メーカーにとってはかなりの自信作だったようだ。

<バグではなくアクシデント>
 大人になってから改めてプレイして分かったことがある。それは、『頭脳戦艦ガル』はやはりファミコン屈指のクソゲーだったということに他ならない。無駄に世界設定がしっかりしているので“ロール”できなくもないが、システム面におけるRPG的要素は自機のパワーアップくらいのものだ。その条件は敵を200体倒すこと。説明書で「高得点必勝法」とか散々煽っておきながら、蓋を開けてみればスコアがまったく関係ないとは。
 とまあ、高得点必勝法に関しては「ガル勲章に挑戦!!」というキャンペーンのためのアドバイスと思われる。この企画では20万点突破でジスタスバッジが、100万点突破ならガル勲章をもらうことができたのだが、応募する際には手数料として400円切手を同封する必要があった。正直、手数料払ってまで欲しいとは思わない。
 さて、本作の目的は100個のパーツを集め、宇宙制御装置「ドラッグ」を破壊することである。エリアが30しか存在しないため周回プレイが前提なのだが、基本はパーツを集めるだけだし、STGとしてはさほど難しくもないので頑張ればなんとかなりそうなもの。ところが本作には所々に罠が仕掛けられているため一筋縄ではいかない。
 その最たるものが、結構な割合で発生するバグだ。運悪くそれに遭遇してしまうとフリーズしてしまい一からやり直し。しかし公式攻略本によると、それはバグではなく“無敵のガル唯一の弱点”であり、あくまでもアクシデントに過ぎないのだという。セーブやパスワードはおろか、コンティニューすらないので、遭遇したら諦めるしかない。
 その他、あるエリアで出現する見慣れない敵を倒すと、それまで集めたパーツを全て没収されてしまうという酷い仕打ちも待っている。ドラクエIIで例えるなら、苦労して集めた5つの紋章を突然強奪されるようなもの。さすがはガル。クソゲーの名に恥じぬ凶悪な仕様だ。
 ちなみにガルとは自機のことではなく“自機を搭載した戦艦の名前”であり、ゲーム中には一度たりとも登場しない。(内田@ゲイム脳)

(C)1985 dB・SOFT

DATA
発売日…1985年12月14日
メーカー…デービーソフト
ジャンル…スクロールRPG
ハード…ファミコン

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