「たとえ日立の記録を更新しなかったとしても、これほど空前の赤字を垂れ流そうものなら経営トップの責任問題に発展するのは避けられない。経営陣が醜態をさらしているのはテレビ事業に限りませんし、もしこれで続投すれば株主の大反乱に発展します」(パナソニック関係者)
同社は今年末の稼動を目指し、450億円を投じてマレーシアで太陽電池事業に着手した。関係者が続ける。
「向こう受けを狙ったビジネスですが、実をいうと当初は尼崎のパネル工場がこの事業の候補地だった。ところが中国勢のダンピング攻勢に遭い、国内生産では採算が取れない。そこで急遽マレーシアに進出を決めたものの、中国勢はさらなる価格攻勢で追い込む構えを見せており、『パナソニックの玉砕必至』と前途を危ぶむ声しきりです」
太陽電池、太陽光発電とも中国勢が圧倒的な存在感を誇り、いまや「欧米系はほとんど儲かっていない」(業界筋)とあっては、パナソニックの返り討ちが目に見えるようだ。
「中村会長、大坪社長とも今年で就任6年の節目を迎える。しかも中村さんは社長在任6年で大坪さんに引き継いだため、ご両人そろっての退任観測は以前からあったのですが、ここまで業績が悪化すれば円満交代などもってのほか。本来であれば、詰め腹を切らざるを得ないはずです。実力者の中村会長は大坪社長だけに責任を押し付けて延命を図るのではないか、といったアングラ情報も、まことしやかに囁かれています」(前出の関係者)
この手のアングラ情報は、何もトップの延命工作だけに留まらない。パナソニックは、日本を代表する他の企業同様、中国政府系投資ファンドの買い増しターゲットになっていることが確認されている。従って同社株が暴落すればするほど「中国ファンドの不敵な高笑いが聞こえてくる」と危ぶむ関係者さえいる。
草葉の陰で“経営の神様”が泣いている。