昨年11月23日の社長交代は、前ブレもなく行われた。友田満氏が解任され、親会社の広告代理店であるADK出身の中村誠氏が就任した。
「同社の場合、社長経験者は会長として残るのが普通。友田氏は会長にも相談役にもならなかった。親会社も冷たい放出をするな、と思いましたね」(関係者)
一時は100億円の売上があった同社。なぜ友田氏は解任されたのか。
「友田氏が就任した4年前から、最終決算で利益を出せない状況が続いていたのが不満なのでしょう。ADKはバックにWWPという英国のハゲタカ広告代理店がついており、日本文芸社の豊富な資産を売ろうとしている。2棟のビルの内、すでにペンシルビルの方が売却されることが決まっています」(事情通)
ただ、手付かずのキャッシュが30億円あるといわれており、まだまだ魅力的な出版社といえる。
同社では平行して、退職金上乗せの退職者募集が行われた。これには70人の社員のうち高齢者の退職者が応募したという。
「以前にも退職者募集を行ったが、前回は上乗せ金が1000万円程度と多かったため退職者も続々出た。しかし、今回はそれをかなり下回る額。応募者も渋いですね」(同)
果たして今後、日本文芸社はどこへ向かうのか。
「一つは『漫画ゴラク』を軸に、こぢんまりと経営を続けていくこと。もう一つは全売却です。悲観的に見る社員は後者と見ている。その方がキャッシュも入りますからね」(前出・関係者)
いずれにせよ、神田出版界を揺さぶった社長交代人事、しばらくは余震が続きそうだ。