発信元は“GM”と呼ばれる東京本社報道局長、同編成局長の2人。A4版1ページ半ほどで、驚くほどの無責任さと、時流を読めない官僚ぶりが社員の怒りに“油”を注いだ。
メールによると、池上氏の原稿は8月28日に組む予定でいたところ、27日に到着。担当記者(経済部出身)らが検討した結果、「いま、このまま掲載すると読者の混乱を招き、朝日への攻撃をエスカレートさせる恐れがある」という全社的な危機管理の面から、両局長の判断を示し、このままの掲載は難しいと池上氏に伝え、修正の可能性も打診した。
しかし、池上氏は「原稿の骨格は変えられない」という立場だったため、話し合いの結果、翌日の掲載を見合わせた。
この際、池上氏から「掲載されないなら朝日新聞との信頼関係が崩れたことになり、連載も続ける状況にない」との立場だったので、朝日は「持ち帰って検討します」と答え、結論は出なかった。29日から海外出張する池上氏が、9月4日に帰国した後に接触することで合意した。
つまり、朝日新聞としては“掲載するかどうかは未定だった”と言いたいらしい。9月1日夜、これらの経緯が不完全な形で流れ出し、他メディアや読者の批判の的にされてしまった。そこで社内外の不信感を払拭するため、改めて4日に掲載したという。
「いかにも『池上さんが出張でいないんだから仕方ない』という論調だ。本当なら徹夜も辞さずで決めるべき重要案件なのに。このドタバタ劇に読者の反発まで起きた。読者応答センターでは、殺到する電話の30%しか対応できなかったそうです。コアな読者まで朝日を見放すかもしれません」(朝日新聞社員)
件の「おわび」も似たような内容だが、
「朝日新聞内部では、池上コラムを一度見送ったことに対して、ツイッターで会社批判を繰り広げる記者が少なくとも、10数人いることがわかってしまった」(朝日関係者)
すべてが後手後手。