「今や、小泉が本気で脱原発社会を標榜していることは事実。ただ、原発再稼働やアベノミクスで長期政権に固執する安倍総理は、原発推進を覆すはずがない。麻生財務相や菅官房長官、甘利経済再生担当相、石破幹事長らのポスト安倍の面々も右に同じで、次の内閣でも脱原発は絶望的なのです。だが、そこに復興政務官に昇進した進次郎がいる。息子を押し立て自らがそれを推進していけば、突破口が開けると睨んでいるようなのです」
このデスクによればそのカギは、まさに件の五輪の開催にあるという。ご存じの通り東京五輪は、招致時に安倍総理が「福島の第一原発の汚染水は、完全にコントロールされている」と世界に発信したほど。これが真っ赤な嘘だったことは、すでに報道で明らかになっているが、開催時には国際社会からの批判がピークに達することは火を見るより明らかだからだ。
「つまり、どれだけ政権延命しようと、汚染水問題で世界を欺いた安倍総理は五輪開催時には、総理でいられるはずがない。次の内閣も原発推進で世界的批判にさらされ、開催前には総辞職に追い込まれる可能性が高いのです。その際には脱原発を訴え続ける小泉元総理の息子の進次郎に、注目が集まるはず。総理総裁のお鉢が回ってくる可能性も高いのです」(前同)
要は、原発推進派である党幹部らが軒並み国際世論に排除され、進次郎氏が総理の最有力候補になるというわけだが、こうした事態は絵空事ではないという。
その最大の理由とされるのが、話題を振りまいた進次郎氏の出世ペース。
別の自民党議員が言う。
「その昔、政務次官(現在の政務官)になれたのは、当選から6〜7年目の議員で、小泉元総理も議員歴7年目で外務政務次官、16年目で厚生大臣に初入閣している。これと比較すると、進次郎氏は父親を遥かにしのぐスピードで政務官に就任。次期内閣で入閣する可能性も高い。7年後に総理総裁を狙うポジションに、十分達している可能性があるのです」
端的に言えば、7年後の東京五輪開催時に、進次郎氏が総理に就いても不思議ではない地位を築いている公算も大だというわけだ。
もっとも、気になるのはこうした小泉元総理の思惑が功を奏するかという点だが、すでに永田町では「脱原発」の一大旋風が巻き起こりだしているという。
前出の政治部記者が言う。
「会食した渡辺喜美代表などは、『みんなの党は脱原発で小泉元総理と歩調を合わせる』と断言。さらに、“仇敵”と呼ばれた小沢一郎生活の党代表や、菅直人元総理などが相次いで連携を表明した。また、自民党内では村上誠一郎元内閣府特命担当相が、安倍総理に『事故の原因究明が緊急課題』『汚染水処理の凍土壁はコストがかかり過ぎ』などと注文を付けだし、もはや政界は完全に小泉ペース。野党が10月15日から始まる臨時国会を、『汚染水国会』に染め上げそうな勢いなのです」
一方、外堀を埋められつつある自民党執行部は、この動きに戦々恐々。
「巻き起こる『脱原発』の動きを会見で聞かれた菅官房長官は、『我が国には言論の自由がある』と澄ました発言をしたが、内心はハラハラ。財界筋からも『小泉をどうにかしろ!』と耳打ちされ、安倍総理も頭を抱えているという。消費税増税に踏み切ったばかりの臨時国会で、原発問題を突き上げられれば、政権支持率が危険水域に達する可能性もある。長期政権も泡と消えかねない状況なのです」(前出・政治部デスク)
ちなみに、当の進次郎氏はマスコミ筋に「父は父、私は私」とコメントしているが、その裏では小泉元総理と呼応した動きを見せているという。
「実は、進次郎は復興政務官が確実視されたころに『どうすれば、原発を減らせる環境を作れるか』と周囲に漏らしていたという。その発言は小泉氏の動きと一致しており、親子鷹の『脱原発』『総理就任』を狙っているフシもあるのです」(前出・自民党議員)
果たして、この動きが7年後の「進次郎総理誕生」につながるのかが見モノといえる。