「AIIB発足当初は格付け会社からの格付けが付与されなかったため資金調達ができず、本格的な活動に至ることはありませんでした。そのため、国際諮問委員会を設けたり、ドイツ、イギリスなど5カ国から副総裁を任命するなどして、高格付けを付与してもらうようアピールを繰り返してきたのです」(経済記者)
AIIBにとっては念願の格付け付与、しかも最上位となったが、3社ともに念押しは忘れない。というのも、AIIBが米国や日本が主導する世界銀行やアジア開発銀行(ADB)よりも緩い融資審査基準やリスク管理を行えば、即格下げになるとしているのだ。
「AIIBの売りは、ADBが融資をしないリスクの高い案件、特に途上国などに積極的に融資することで、習近平国家主席肝いりの経済・外交圏構想『一帯一路』計画を後押ししようというものでした。しかし、緩い審査をすると格下げの要因になるということは、AIIBが当初予定していた持ち味を失わせることになるのです」(同)
大手格付け会社によるAIIBの最高格付けは、中国の“向かうところ敵なし”を象徴する出来事のように見える。しかし、アメリカをはじめとした欧米各国が簡単に中国に世界のイニシアチブを譲るわけがない。
「最上位の信用格付けの裏には、中国人のプライドをくすぐりながら彼らの動きを押さえ込み、コントロールしようという思惑が透けているのです」(同)
AIIBの動向を注視すれば“世界”を見通すことができるかもしれない。