2011年の秋にガンが発覚したが、闘病中もドラマやバラエティー番組に出演し、周囲に悟られないよう振る舞っていたのである。
最期まで女優魂を貫いた坂口さんの闘病生活を、元マネジャーが語る。
「2年前、坂口はロケ先の鎌倉で急激な腹痛に襲われ、病院で腸閉塞と診断されました。その治療時に大腸に初期ガンが見つかったのです。あの時、緊急入院という状態だったのに、坂口は周囲に迷惑をかけたくない一心で鎌倉から東京の病院まで自身で運転した。あの精神力ならきっと病魔に打ち勝つと信じていたのに…」
ガンの発見直後に手術を受けた坂口さんは、その後半年間、月に2〜3日ほどの抗ガン剤治療を続けた。
「治療中は吐気や脱毛など抗ガン剤の副作用に悩まされていたと思いますが、泣き言一つ漏らさなかった。体調が悪くても、専属のヘアメークに“女優坂口良子”のルックスを完璧に仕立てさせてから現場に出る。あの徹底したプロ意識には感心させられました」
関係者以外ガンであることは公表されなかったが、頑ななまでに病気を隠し通した理由は何だったのか。
「何より子供たちのために仕事を続けたい気持ちが強かったのでしょう。坂口は19年前の離婚後、無我夢中で働き、育児ができなかった。それをとても後悔しており、『子供たちに罪滅ぼしをしたい』とよく口にしていた。それでタレントで娘の杏里のために、バラエティーなど女優には畑違いの番組にも積極的に出演したのです」
昨年12月末に最後の番組出演を終え、2度目の手術を受けるため入院。
「“治療に専念して3月までに完全復帰する”というのが坂口の希望でしたが、体力がめっきり減り痩せ細った。本人は『点滴だけでまともな食事をしていないせい』と笑い飛ばし、唯一続けていた週刊実話の連載原稿も病室で書き綴った」
愛くるしい笑顔でお茶の間を元気づけてくれた坂口良子さん。ご冥福をお祈りいたします。合掌。