逮捕容疑は9月下旬、東京都内の居酒屋で被害者を含めた数人で飲酒した後、合宿先となっていた都内のホテルで、酔って寝込んだ10代女性を暴行した疑い。女性が警視庁に被害届を提出して、警察が動いた。内柴容疑者は「納得できない。合意の上だった」と容疑を否認しているという。
内柴容疑者は昨年4月に九州看護福祉大(熊本県玉名市)の女子柔道部コーチに就任。今年1月からは同大の客員教授を務めていた。被害女性は部員で、11月29日、同大はセクハラ行為があったとして、内柴容疑者を懲戒解雇処分としていた。
“合意の上”を主張する内柴容疑者であるが、形勢不利は否めない。“強姦”は暴行または脅迫を用いて暴行に及ぶ犯罪だが、今回、内柴容疑者が罪を問われている“準強姦”は女性の心神喪失・抗拒不能に乗じて暴行する犯罪と定義されている。つまり、睡眠や飲酒酩酊状態での暴行がこれに当たる。準強姦の場合は、相手が正当な判断能力を失っているため、“合意の上”であるかどうかは重要ではないようだ。いくら、内柴容疑者が“合意の上”と訴えたところで、準強姦罪ではさして意味をなさないのである。
そもそも、人道上、教育者が未成年の教え子の飲酒を黙認した上で性行為に及ぶこと自体が問題で、本来なら飲酒をたしなめなければならない立場である。ましてや、内柴容疑者は妻帯者であり、倫理的な問題もある。
JOC(日本オリンピック委員会)によると、日本スポーツ界の長い歴史の中で、五輪の金メダリストが逮捕されたのは初めてのケースだという。JOC・市原則之専務理事は「ざんきに堪えない子どもの夢を壊すことだ。二度と出ないでほしい。五輪教育をしっかりしないといけない。嘉納治五郎氏による体協創立100周年の年に寂しい限りだ」とコメント。内柴容疑者は日本柔道界のみならず、日本スポーツ界に大きな泥を塗ってしまった。
(落合一郎)