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コネ採用明示の岩波書店に小宮山厚労相がKY発言

 2月上旬、老舗出版社の岩波書店(本社・東京)が13年度の社員定期採用において、「岩波書店著者の紹介状あるいは岩波書店社員の紹介があること」とコネ採用を明示したことが社会問題化した。

 これに関し、小宮山洋子厚生労働相は17日の閣議後の記者会見で、「紹介がないと(採用試験を)受けられないという誤解を招く恐れもあったが、現時点では問題ではない。何かに違反しているわけではない」との見解を示した。

 小宮山厚労相によると、東京労働局やハローワークが同社の担当者などから事情を聴いた結果、「応募者の熱意や意欲を把握したい意図」との説明があった。紹介を基準とはせず、筆記や面接試験で厳正に選考することを確認。紹介が難しい人についても、応募機会の確保を図る考えがあることも明らかになったという。

 同社は例年、入社志願者が多く、例年、数人の採用に対し1000人以上が応募しているという。問題が表面化した当初、担当者は縁故採用に限った理由を「出版不況もあり、採用にかける時間や費用を削減するため。(入社希望者は)自ら縁故を見つけてほしい」と話しており、調査報告とは食い違いもみられる。

 早い話、縁故がない希望者は、それこそ知人の知人の、そのまた知人をたどってでも紹介状をゲットするくらいの気概、努力を見せてほしいということなのだろうが、できるだけ希望者を少なくして、採用にかける時間や費用を抑えたいのがホンネだ。

 どんな企業においても、コネ採用は最優先。そんなことはいわれなくても誰でも分かっていること。法に触れているとかいないとか、そんなことはどうでもいいのである。ある意味、採用枠が若干名しかない同社が、応募条件に「コネがある人」と明示したのは正直な措置。そううたわれればコネがない志願者はわざわざ応募はしない。本当はコネがある者しか採用しないのに、それを明示しないより、ずっとマシだ。

 小宮山厚労相は「採用が公正に行われるか、今後もしっかり注視していく」とも述べた。そもそも、企業側に合格者の採用基準を示さなければいけないルールなどないし、その術もないのだから、そんなことはムダな話だ。小宮山厚労相には「コネ採用はやめなさい」くらいのことを言ってほしかった。その意味で、この大臣発言は全くもってKYだった。建て前論でしかない。
(蔵元英二)

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