日本サッカー協会の大仁邦弥会長は1月15日の理事会で善後策を協議したが、関係者によれば後任人事とともにこの席で知恵を絞ったのが、いかにしてサッカーの清廉さを回復させ人気を維持するかということ。「アジア杯の期間中は代表の戦いを最優先したい。終わった時点で今後の対応について説明させていただく」と言葉を濁し、もはや疑惑の人物を守りきる姿勢は示さなかった。
アギーレ監督解任となった場合、避けて通れないのが任命責任。アギーレ氏と折衝を重ね、就任させた原博実専務理事と懐刀の霜田正浩技術委員長の引責辞任は確実視される。しかし、そうはさせじと身を乗りだしたのが協会のドン、元会長の川淵三郎氏だという。
「会長職を退いても院政を敷く川淵さんは5年後を見据え、東京五輪時の協会会長に原専務理事をもくろんでいる。それほど有能な人物をこのような“もらい事故”で失うことだけは避けたいのでしょう。そこで密かに画策しているのが、原専務理事のJリーグチェアマンへの横滑り人事です。ファンの手前すぐにとはいかないが、アギーレ騒動が収まるのを待って仕掛けてくる。人の噂も七十五日…ってことでしょう」(スポーツ紙デスク)
協会首脳が活路を見出そうとしているのが、負け続けているアジアチャンピオンズリーグ(ACL)の制覇だ。アジア各国のリーグチャンピオンがクラブナンバーワンを争う大会で、Jリーグ王者をアジアの頂点に導き、その勢いを買ってクラブW杯(旧トヨタカップ)で世界一に−−という雄大な戦略だという。
それを裏付けるように大仁会長は14日、今年のACL出場資格を得た4クラブ、ガンバ大阪(Jリーグ1位)、浦和(2位)、鹿島(3位)、柏(4位)の幹部を集め、「われわれの究極の目的はクラブW杯優勝。そのためにまずはACLを制覇してほしい」と叱咤激励した。
協会がこれほど意気込むのは秘策があるからだ。日本代表のエース香川真司を一時的に帰国させ、助っ人として参戦させる計画だという。
香川は昨年8月末に英マンチェスター・ユナイテッドから古巣の独ドルトムントに電撃復帰したが、マンUでの2年間の控えが影響し、実力が発揮できないでいる。自信も喪失。おかげでドルトムントは2部リーグへ自動降格となる順位に低迷。香川の理解者だったクロップ監督も香川を見切り、スロベニア代表のMFケヴィン・カンプルを獲得して巻き返し策に出ている。