「東京・恵比寿のMLBカフェにワールドシリーズの優勝トロフィーが提示されることになり、その式典ということで来日しました。業務提携を結ぶ関係から滝鼻オーナーも訪れ、いろいろと意見交換もしたようです」(イベント関係者)
滝鼻オーナーは「ヤンキースと巨人が隔年で対戦するイベントも…」と“リップサービス”をしており、ヤンキースタジアムへの広告出資(読売新聞社)も続けることを明言。ともに親密ぶりをアピールしていたが、両球団を繋ぎ止めていたのは、松井秀喜であったはず。とくにヤンキースはその松井が移籍した今、巨人と親密にやっていかなければならない理由はないのだが…。
『ヤンキースがようやくニック・ジョンソンを獲得した』
これは、09年、マーリンズで活躍したジョンソンを獲得したときの米報道だ。「ようやく」と書かれたところに、巨人と再接近した『答え』があるようだ。ヤンキースは08年オフに『サイ・ヤング賞投手』のCCサバシア、ア・リーグ最多奪三振投手のバーネットを同時獲得したように、「欲しいと思った選手がいたら、金に糸目は付けない」強引な球団でもある。そのヤンキースが、09年オフ、大型補強を成立させていないのだ。
「今季、キャプテンのジータとの契約が切れます。契約延長のためには大金が必要となるし、その影響では?」
そう予想する声も聞かれたが、大金をプールしておかなければならない理由はほかにもあった。ヤンキースは、「北海道日本ハムのダルビッシュ有のポスティングがある」と読んでいる。
昨年、米スポーツ専門局が『ネクスト松坂』と称し、ダルビッシュの特集番組を放送している。同局は「入札金は100億円以上」とも予想していたが、ヤンキースは松坂の入札に敗れている。「ダルビッシュは是が非でも獲りたい」と思っており、その軍資金をプールするため、09年オフの補強費をケチッたというわけだ。
見方を変えれば、『ダルビッシュ資金』を捻出するため、松井との契約延長に二の足を踏んだとも言えなくもない…。
当のダルビッシュは「メジャーには興味がない」と公言しているが、日本ハム球団が彼を抱えられなくなるのではないだろうか。
同球団の選手総年俸は約23億円(推定)。ダルビッシュの年俸はすでに3億円を越えており、今季も安定した成績を収めれば、5億円近くまで膨れ上がるのは必至だ。オリックスがイチローを手放したように、「日本の球団は1人の選手の年俸が総年俸の4分の1に達したら、経営面で危なくなる」とも言われている。
ヤンキースはこうした日本の球団経営についても、巨人から情報収集するつもりでいるのだろう。強引補強のヤンキースの魔の手は、日本に忍び寄っている。(スポーツライター・飯山満)