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最悪危機回避のオールスター楽屋裏

 18日、社団法人日本野球機構(NPB)から今年のオールスター(7月23日=福岡ヤフードーム、24日=ハードオフ新潟)の冠スポンサーに3年連続マツダ、中継局としてテレビ朝日系列が決定したと発表された。最悪危機の事態を回避できた関係者はホッと一息だろう。財政難に悩んでいるNPBにとって、冠スポンサーとテレビ中継局問題は、最大の懸案事項だったからだ。

 冠スポンサーが3年連続してマツダに決定したが、1年ごとに契約を見直すことになっており、正式契約までは安心できなかっただけに、安どしているだろう。1988年から2006年までは三洋電機が冠スポンサーになり、協賛金1年3億4000万円という高額なスポンサー料がNPBに支払われていた。「オールスターの冠スポンサーになりたがっている企業は多い。三洋電機が降りても心配ない」とNPB幹部が口にしていた時代もあったが、大不況時代の現在はそうはいかない。
 経営不振に陥った三洋電機が降板すると、新しい冠スポンサー探しに四苦八苦。当時ヤンキース(現エンゼルス)の松井秀喜のCM出演で知られた、中古車自動車販売最大手のガリバーに決まったが、07年1年だけ。08年には新車発売のPRのタイミングということでマツダが名乗り。昨年は広島の新球場マツダスタジアムでオールスター開催ということで続投。今年も新車発売のPR効果を狙って3年連続でマツダとなった経緯がある。が、かつての三洋電機のように、「できる限り継続的にやりたい」という長期契約ではない。
 テレビ中継の方も危機感にあふれている。昨年、新球場マツダスタジアムの試合はすぐにTBS系列が付いたが、札幌ドームで開催した試合が「史上初めて地上波のテレビ中継なし」の危機に直面したのだ。「セ、パ真剣勝負の交流試合の方が面白い。顔見せ興行のオールスターは視聴率が取れない」というのがテレビ局の判断だった。最終的には1億円を超える相場のオールスターのテレビ放映権料を8000万円まで値下げして、ようやく日本テレビ系列に決まった。今年は2試合ともテレビ朝日系列が中継することになったが、「2試合でいくらのパック料金では」といわれているし、関係者も否定しない。1試合8000万円まで値崩れしたオールスターの放映権料がどこまで下がったのか。2試合で1億数千万円のケースもあり得るだろう。
 「史上初めてオールスターから地上波のテレビ中継が消える」というのが、NPB関係者が想定する最悪の事態だからだ。今年は最悪回避でも、来年以降もNPB関係者の悪戦苦闘は続く。

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