「獲得前に巨人の渉外担当も現地入りし、当初から『セペダは年齢的に厳しい』と見ていました」(球界関係者)
それでも、34歳のセペダと契約した理由はメンツだった。セペダは2013年のWBCでも四番を務め、過去3大会の通算成績は打率4割を超えている。国内リーグでも圧倒的な存在感を見せ続けた英雄であり、キューバ政府も「日本でプレーする第1号は、多大な貢献をしてくれたセペタでなければならない」と強く訴えていた。巨人はそうしたキューバの国内事情を汲んだのである。
「クライマックスシリーズファイナルステージの初戦、セペダは代打で登場しましたが、無死満塁の好機を潰し、3戦目もいいところがありませんでした。最終ゲームの九回裏にソロアーチを放ちましたが…」(スポーツ紙記者)
DeNA、千葉ロッテはグリエルとデスパイネについて、キューバ政府に来季の契約延長を訴えているという。巨人ファンはセペダに帰国していただきたいと思っているはずだが、状況が変わりつつある。
こんな情報が飛び込んできた。キューバ政府は選手の日本派遣に、新たにポスティング・システムを設けようとしているという。
「選手獲得の窓口は政府で一本化されています。要するに、日本の球団が単独でお目当ての選手を獲得するための交渉をしてきましたが、日本の海外FA権を持たない選手が米挑戦するのと同じように、一定額の落札金を支払う約束をさせる前段階を設けよう、と」(プロ野球関係者)
落札金は、当然ながら政府に入る。キューバ政府が海外プレーを認めた本来の理由は外貨獲得である。契約金、年俸がどれくらいの割合でキューバ政府に上納されるのか分からなかったが、グリエルがDeNA入りしたときに「選手9、政府1」と割合が漏れ伝わってきた。セペダは契約金5000万円、年俸1億5000万円の計2億円。その10%である2000万円分を上納した計算になる。グリエル、デスパイネの上納金は合わせて1700万円だ。
キューバからしてみれば、国内リーグの主力3人を送り出した見返りが7000万円にも満たなかった。ゆえに、キューバ政府はさらなる外貨獲得法として、ポスティングという前段階を設けようとしているのだ。
「キューバ政府はセペダを獲得してくれた巨人に感謝しています。巨人に有利な交渉を約束したとしても不思議ではありません」(同)
この制度の詳細はまだ決まっていない。しかし、セペダとグリエル、デスパイネは1年契約。特にグリエルとデスパイネは日本でも通用することが十分に証明された。両者は引く手あまたの再来日になるであろう。しかし、入札制度が必要になれば、実績ある2選手の獲得には巨人が有利だ。金銭面での強さもさることながら、キューバ政府の協力が取り付けられれば、他球団の入札金額がリークされることもあるかもしれない。
巨人が圧倒的有利な状況の中、キューバ選手たちは来季どの球団所属になるのであろうか。