「今季の巨人は2006年以来のBクラス(4位)。続投はもっけの幸いですが、ライバル広島の黄金期はしばらく続く。高橋監督に近い人ほど『来季も勝てない』とみており、ここは1年待って、次期監督の下で長期雇用を確保しようとしている」(巨人担当記者)
現在、内定しているのは、元二軍監督・吉村禎章氏の入閣のみ。高橋監督は村田真一ヘッドコーチ、今季途中で一軍投手コーチに配置転換された斎藤雅樹氏の続投を希望しているが、「V逸の責任をとりたい」と退任を申し出ているという。
さらに、尾花高夫投手コーチが編成本部アドバイザーに、村田善則バッテリーコーチが戦略室スコアラーに転任すると発表された。
背景にあるのは、巨人のお家芸ともいえる「大艦巨砲主義」だ。今季は総額30億円の超大型補強が機能しなかったにもかかわらず、今度は中日のゲレーロ、ヤクルトのバレンティンを狙っている。そして早実・清宮の1位指名を決めたことで、これまで各コーチが取り組んできた来季構想はご破算になる可能性が高い。
さらに話をややこしくしているのが原辰徳前監督の存在だ。侍ジャパン監督に稲葉篤紀氏が就いたことで、原氏の目標だった東京五輪監督の座も事実上消滅。そこで、生まれ育った神奈川が本拠地の横浜DeNA監督に方向転換しているのだ。
「巨人に競り勝ちCS進出を決めたDeNAは、今季2年契約が満了するラミレス監督の続投を決めたが、1年契約での更新にとどまった。同時に来オフに“原ベイスターズ”を始動させる準備も進めているからだ。その際、もれなくついてくるのが、原氏を信奉する斎藤氏と村田氏。そのため、巨人の主要ポストに就くことをためらっている。できれば浪人したいと。巨人に礼を尽くしたいのだろう」(巨人OBの野球解説者)
急務になったのがコーチのヘッドハンティングだが、さっそく動きが出てきた。リーグ2連覇に貢献した広島の石井琢朗打撃コーチと河田雄祐外野守備走塁コーチが、今季限りで退団する。「東京に残した家族との時間を大切にしたい」というのが理由だが、額面通りに受け取る人は少ない。
石井コーチは“ビッグレッドマシンガン打線”を作り出し、菊池涼介、丸佳浩を復活させ、鈴木誠也の成長をアシスト。今、打撃コーチとして最も評価が高い。河田コーチは三塁コーチとして抜群の判断力を発揮、機動力野球を復活させた。
巨人には江藤智打撃コーチ、内田順三二軍監督といったカープOBもおり、ここに緒方孝市監督を支えた両コーチが加われば、巨人の得点能力は格段に高まり、広島の痛手も大きい。
鯉カラー一色のコーチ陣に、高橋監督はどうする?