もう一人は年俸1億円+出来高のケイシー・マギー内野手(30)。昨年7月、パイレーツからヤンキースに緊急移籍し、左手骨折のロドリゲス、右足負傷のテシェイラの代役として一、三塁をカバーした通算61本塁打のマルチプレーヤー。
「両選手ともに即戦力です。さらに今季はダイヤモンドバックスからFA移籍した斎藤隆投手もおり、メジャーリーグからの補強なら楽天が一番。問題はなぜヤンキースの好選手を獲得できたか。そこは魚心に水心。楽天、ヤンキースがともにマー君でいい関係を築こうと、接近を図っているのです」(スポーツ紙デスク)
今シーズンで入団7年目を迎える田中は来オフに国内FA権、'15年オフには晴れて海外FA権を得る。
松坂大輔(西武→5111万ドルでレッドソックス)、ダルビッシュ有(日本ハム→5170万ドルでレンジャーズ)がそうだったように、球団としては田中の海外FAを待たず、今オフにポスティングシステムを使ってメジャー球団に売却した方が得策なのだ。
早い話、'15年終了まで田中を引っ張るとメジャー球団にタダで持っていかれてしまうが、ダルビッシュ同様に今オフにポスティングにかければ、約50億円の移籍金が期待できる。
ただしポスティングシステムには「最高額を入札したチームに独占交渉権を与える」という縛りがあり、その意味では移籍先はヤンキースという保証はないが、抜け道はあるという。
最高入札金のチーム名は日本のコミッショナーを通じて日本の当該球団に伝えられるのだが、日本の球団は何月何日に相手球団から振り込みがあった、と報告するだけで、コミッショナーが領収書を調べて振り込み確認をすることはしない。
「ヤンキースが破格の入札金を提示しさえすれば、すべては事足りるのです。楽天はいったん入札金を受け取って返金も可能。そのような誘い水も今回のヤンキースからの助っ人には秘められているのではないか」(球界関係者)
田中は昨年末、8000万円増の年俸4億円プラス出来高払いで3年契約を結んだが、得心はしていない。
「僕らの世代(1988年生まれの広島・前田健、巨人・坂本、澤村)で日本の野球がすごいんだ、と世界に見せたい。3月のWBCでメジャー組抜きでもやれるということを…」
と、話す田中の視線の先にはWBC制覇でのヤンキース入りが見て取れる。
株価同様、三木谷オーナーもほくそ笑んでいる。