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私が見た「木の間を自在に飛ぶモノ」

 今回の場所は高野山。季節は初夏。

 魔界との境を封印しているというこの地では、不思議なモノをよく見かける。 

 その日、私は幼かったわが子を乗せたベビーカーを押して、奥の院への道を夫と歩いていた。

 すれ違うお遍路さんや信者の方々と気軽にあいさつを交わしながら、ある場所を左に曲がる。

 杉の大木がある石畳は年月を感じさせ、人に囲まれたガイドたちは

 「この奥には織田信長の墓があります」

 など、説明に余念がない。

 ふと私は、木々の中に何か動くモノを発見して立ち止まった。

 「何が見えた?」

 夫の声。私はこの山の空気が好きだ。すがすがしくほのかな懐かしさ。

 それを味わうために立ち止まったのではないことを、夫は経験で知っていたのだろう。

 「わからない」

 じっと見つめる木々の合間。

 シュッ。シュッ。

 空気をかすめるような高速で飛んでいる何かには、確かに意思があるように見える。

 三個から多くて五個の影は、木々の間を自在に飛び回っている。

 「木の間を、忍者みたいに何かが飛び回ってる。」

 伴侶も目を凝らす。

 「んー。俺には見えないけど。幽霊?」

 「霊にしては生き生きしてるように見えるけど…。すごく元気そうだよ」

 シュッ。シュッと飛び回っているそれの動きは、とても人にはできない芸当に見えた。

 「じゃ、天狗じゃない? まわりは山ばっかりだしさ、妖怪とかいても不思議じゃないよ」

 天狗。そう言われてみると、天狗かもしれない。

 もちろん姿は見えない。ただ高速で飛んでいるのが見えるだけなのに、その名前がしっくりくる。

 そんなに霊位の高さを感じない。修業中の天狗なのだろうか。

 まだまだ日本には天然の魔境が残っている。

 高野山はそのひとつなのだ。何がいても不思議ではないのかもしれない。

 また高野山では、足元をネズミのようなクモのようなモノが走り抜ける。

 それの正体もまた謎なのである。

(立花花月 山口敏太郎事務所)

参照 山口敏太郎公式ブログ「妖怪王」
http://blog.goo.ne.jp/youkaiou

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