田中は「本当にずっと作りたかった本なんですよ」と開口一番喜びを語った。実に制作期間は2年半。同書は広島大学准教授・生物学者の長沼毅先生が共著しており、そもそも同書を制作したきっかけは、長沼先生の一言だったという。「本当にまだ面識がそんなにない時に番組でお会いして、ずっとこの本を作りたかったので、『こういうことって形になりますかね?』って聞いたら、『それは面白いです』って言ってくれはったんで。先生が面白いですねっていうことをおっしゃってくれなかったら、たぶんこの本生まれてなかったと思うんで、それが有り難かった」と長沼先生に感謝した。
ただ、やはり制作する際に苦労もあったようで、「生物がどう見えてるかっていう答えはないんですよね。直接生き物にどう見えているか聞けないので、人の視細胞を参考に、こう見えているんじゃないかっていう本なんですね。脳でどう処理してるかとか、あくまでも人の理解しているレベルを色んな生き物の視細胞を調べることで、想像していく。答えがないものに向かっていく難しさみたいなものは、すごくありました」と明かした。
田中といえば、動物に関する知識は豊富で、芸能界でも随一の博学として知られている。一体、どこからマニアックな情報を得ているのだろうか? 「図鑑、テレビ番組も見ます。ロケでいろんな場所に行かせてもらえることがあるので、専門家の方や動物園の飼育員の方に、すごくお話聞きますね。現場の人が当然一番詳しいと思うので、生の声を聞きたいんですよ」とまさに貪欲そのもの。ネットや図鑑に載っている当たり前の情報ではなく、本当に貴重な情報を仕入れているという。
そんな田中に今注目の生き物を聞いてみると、「ダニですね」と即答。「何万種っているんですけど、もちろん人に害を及ぼすダニもいれば、チーズを美味しくしたりするダニがいたり、色んな生き物に寄生するダニもいる。専門家の方から聞いたんですけど、赤ちゃんとして生まれてきた段階で、すでにもう赤ちゃんを身ごもっているダニがいるらしいです。マトリョーシカみたいな。ダニは面白い」と興奮気味に語った。
最近では、天体物理学者のスティーヴン・ホーキング博士が地球外生命体の探索を進めるプロジェクト実施を発表し、世界中で話題となっている。地球外生命体の存在については、「いて欲しいと思っています。長沼先生が言ってはったんですけど、人のような高等な生き物っていうのは、もしかしたら難しいって言ってはって、確かに小さい微生物とかバクテリアとかそういうレベルの生き物はいておかしくないと。なので、そういう生き物はおそらくいるであろうと…。あとは知的生命体ですよね…。人みたいな生き物がいると面白いなとは思います」と考えを明かした。もし、宇宙のある星に地球外生命体が存在するならば、「絶対に見に行きたい」と想像しながら嬉しそうだった。
我々、人間も含む全ての生き物は今まで何百万年もかけて進化を遂げてきた。田中にとって「進化」とは一体どういうことなのだろうか…。「進化って偶然の産物なんです。自分の希望が形になるかっていうとそうではなくて。偶然、ポーンって出てくる」と説明。おそらく多くの方は、進化というものは長い年月をかけて、徐々に環境に適応しながら身体を形成し、変化を遂げていくものだと思っているでしょう。しかし、突然変異的に進化を遂げる動物もいるという。
「まさにキリンがそう。キリンはいきなりポーンって首が長くなったんで、途中の過程がないんですよ」と解説。キリンの首が長くなった理由として様々な説があるが、「ウィルス説が有力なんです。首が長くなるようなウィルスに感染して、それで首が長くなったんじゃないかって」と1つの説を説明した。
さらに「オカピのような原始的なキリンの仲間から、首の長いキリンに飛ぶんですよ、進化ってこういうことなんです。よく首を長くして、高い食べ物を食べるっていうイメージがあると思うんですけど、どうやらそうじゃないみたいです。もちろん、願って叶っていく進化っていうのも多少、あると思うんですけど、こういう進化のケースがベース」と田中なりの「進化論」を示した。
最後に、自身の進化について尋ねると、「50m泳げるようになりました」と申し訳なさそうに明かし、「今までは45mしか泳げなかったんですけど、あと5mがどうしても届かなくて、何度もトライして最近ようやく50m泳げるようになりました。5m進化しました」と自分で苦笑していた。
田中の進化はまだまだこれからのようだ。