昨年、視聴率3位に転落したとき、フジテレビの日枝久会長はこう言って胸を張った。
ところが、2月初めに第3四半期('12年10〜12月)の決算を発表した同局だが、数字を見る限りでは、「業績は落ちっ放し」だったのだ。
この3カ月で見る限り、売り上げは816億1300万円(7.4%減)、経常利益が72億2700万円(30.1%減)、最終利益が42億1800万円(6.5%減)と軒並みダウンしている。
「視聴率が3位転落とともに落ちるスポットCMが10〜15%近く下落したのが業績にこたえた」(広告代理店関係者)
ただ、通期('13年3月期)では売り上げが3238億円、経常利益が231億円、最終利益が134億円を見込んでおり、まずまずの業績だとアピールする。
第3四半期がよくないのに通期が好調なのは、同局が主幹事になった映画興行収入に助けられたからだ。
『BRABE HERTS海猿』が73億3000万円、『テルマエ・ロマエ』が59億8000万円、『踊る大捜査線 THE FINAL』が59億7000万円といずれも大ヒットした。
このように、昨年の邦画興収ベスト3はすべてフジ主幹事局作品が占め、興収合計額は約192億円に達した。「放送外収入」がフジの最悪の決算予想を改善したのだ。
ただ、今回はたまたまついていたに過ぎない。『踊る大捜査線』は今回で終わりだし、『海猿』も原作者とのトラブルで次はない。続編が決まったのは『テルマエ・ロマエ』だけである。
日枝会長率いるフジテレビの親会社フジ・メディア・ホールディングス(フジMHD)の'13年3月期決算は、売り上げ6288億円を見込む。フジの売り上げ('13年3月期通期決算)は、フジMHDのわずか半分しかないのだ。
映画興行収入がなかったら赤字転落もありえたフジ、この体力だと視聴率3位からの浮上は難しい。
(編集長・黒川誠一)