昨季までは権藤氏がドラゴンズの投手部門を全面的に預かり、高木監督がブルペンに姿を見せることはほとんどなかった。
にもかかわらず、昨年の巨人とのCSファイナルステージで日本シリーズに王手をかけながら3連敗した際、抑えエースの岩瀬で「正攻法」勝負を挑んだ権藤氏に対し、ブルペン事情を知らない高木監督が勢いのある浅尾や山井の投入を注文したことで口論となり、権藤氏がケツをまくる形で退団したのだ。
「その後遺症がモロに出た。投手陣を全面委託していた権藤コーチが不在になったことで、高木監督がブルペンで陣頭指揮を始めたのです。が、12球団1を自負する投手陣に『投手陣の心得』や『調整法の云々』を怒り口調で説くものだから、ソッポを向きだした。ほとんどが権藤シンパですから、ブルペンが機能しないのは当然です。野手陣もこれまではベテランに特権を与え、谷繁、和田、井端、荒木などは地方球場の試合には連れて行かず、名古屋に残して調整させてきた。その特権が剥奪され、ベテラン陣は開幕を前に疲労困憊。選手会長の吉見の『ベンチの雰囲気がヤバイなと感じる』『空気が暗い』の言葉がすべてを物語っています」(地元テレビ局スタッフ)
それでなくとも瞬間湯沸かし器の異名を持つ高木監督だが、さらに不機嫌を増幅させているのが、開幕戦であたった横浜DeNAの外国人だ。昨季まで中日でプレーしていた主砲ブランコ、ソト、ソーサ両投手の外国人トリオがこぞって横浜に移ったからである。
「いずれにせよ、今季の中日対横浜戦は遺恨カードとなり売り物になる。いま中日首脳が目指しているのがカネをかけずに利益を出す広島カープ型の球団経営です。貧乏球団に映る広島だが、実は38年連続で黒字を計上しており、直近の年間利益も2億5221万円。年間10億円近い赤字を出すドラゴンズ首脳からすれば、コンパクトなカープ型経営はまさにお手本なのです。その意味では最終年が予想される今季の高木監督の役目は高額なベテラン選手を一掃し、若手中心にスイッチすること。そのためにはオープン戦同様、負け続けることが大事なのです(笑)」(中日新聞関係者)
戦力的には今季のセ・リーグは巨人、阪神、中日の人気御三家の争いに見えるが、それぞれ爆弾を抱えており、予断は許さない。