小橋は昨年9月に「右腕遅発性尺骨神経麻痺」及び「両肘関節遊離体」で両ヒジを手術した。その後、右ヒジを使った練習を再開した際、ボルトが曲がってしまう異変が発生。11月には右ヒジのボルト除去手術を受けるなど、復帰のメドは立っていなかった。
ところが、この日の第5試合終了後、会場内に入場曲「GRAND SWORD」が流れると小橋が登場。リング上で「3月1日、日本武道館で復帰することに決めました。3月1日まであと1カ月。最高のコンディションで上がりたいと思います」と復帰を宣言した。2100人超満員のファンの大「小橋」コールが後楽園ホールを包んだ。
小橋によれば、昨年末に右腕のウエートトレーニングを再開した。主治医と相談し「あとは自分の調子と相談しながらやっていこう」という結論に達した。21日の横浜赤レンガ倉庫大会で三沢光晴社長に相談、復帰を決意したという。
早期復帰の影で「一昨年は、じん臓を1個取ったんで、栄養的な部分で控えていた。今は前の生活に戻してやっています。たんぱく質が摂れるようになった」という。これまで禁止されていたアミノ酸やビタミンなどのサプリメントが摂取できるようになったためだ。
小橋自身も「じん臓がんから復帰した一昨年よりは確実に変わってきていると思う」とその効果を実感している。
アミノ酸がもたらす効果は筋力、持久力アップや疲労回復など様々な効果が期待できる。その一方で、小橋にとっては諸刃の剣でもある。アミノ酸に含まれるたんぱく質を摂取しすぎるとじん臓に負担をかけてしまう。
それでも「また(ドクター)ストップがかかるかもしれないけど、その時はまた向き合えばいい。でもストップかかるまではガンガン追い込んで、みんながじん臓ガンのことを忘れるくらいの状態にしたい」と全力を注ぐことを誓った。鉄人は復帰までアクセル全開だ。