一瞬、そう錯覚させたのが、NHKが発表した昨年度の職員平均給与総額である。なんと1185万円ももらっているのだ。
具体的な額をあきらかにしたのは今回が初めて。この高額に驚いたむきも少なくなかろう。
吉国浩二理事は「平均的な定昇カーブを抑制して、努力した人に多くの賃金を与えたい」という。
この理事には、給与の出所をよく考えてもらいたい。自分のポケットから出しているような発言は慎んで欲しいものである。
NHKでは昨年3月の予算国会審議で、自民党議員らから「公務員や民間企業と比べ給与が高すぎる」と指摘されていた。
「NHK職員の平均給与額は、民放でいえば名古屋の中部日本放送の1186万円とほぼ同額。ただ、中部日本放送は、視聴率戦争に経営を左右されるし、いまとなっては難しいゴルフ場経営などさまざまな事業で放送外収入を稼いでいる。これに対しNHK職員は、国民が払う受信料で安閑と暮らしている」(NHKウオッチャー)
'11年1月、JR東海副会長からNHK会長になった松本正之氏も、職員の給与は高すぎると判断した。
そのため2月半ば、約1万人の職員を対象に、基本給と賞与の全体額を5年後をメドに10%削減することなどを盛り込んだ給与制度改革案をまとめ、組合に提示した。
だが、これは遅すぎないか。10%といわず20%カットでもよかろう。
実施も'17年度という。そのとき新方針を打ち出した現会長が続投しているかどうか(3年任期のため)。同時に1万人の職員の、さらなるリストラも進めるべきだ。
もう一度繰り返す。NHK職員の暮らしを面倒見るために、視聴者は存在しているわけではないのだ。
(編集長・黒川誠一)