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悪質霊感商法がつけ込む先祖供養の罠

 本稿の取材対象であるA氏は、若い頃から苦労が耐えない人生を送ってきた。彼は自分の運勢が悪いのはきっと何か問題があると思い、易占いで有名な××易断へ相談に行ったそうである。場所は吉祥寺で、当時23歳のA氏は、鑑定料の3000円を持って相談に行ったという。A氏にその件について聞いてみた。

 −− その場所はどんな印象でしたか。

 A氏 そこは普通のマンションの一室でした。鑑定士が元ボクシングチャンピオンの具志堅用高に似た人物で、何処か怪しいイメージがありました。

 −− そこではどんな鑑定法をしていたのですか。

 A氏 筮竹(ぜいちく)を用いた易学の鑑定でした。生年月日を鑑定士が聞くので答えました。すると鑑定士はするすると計算を始めて、それを紙に書き出したのです。紙には私の運命表が書かれていました。何歳の時には運が良いとか、この年は良い年ではないという感じです。満60歳くらいまでの運命が書かれていました。

 −− 今回の相談内容の結果がわかったのですね。

 A氏 はい。私は鑑定士から次のように言われたのです。「貴方の先祖の中に成仏ができていない先祖がいて、貴方の不運の原因となっている。私が半年間の間、毎日祈祷をして先祖を成仏させるから、費用として60万用意して欲しい」ということでした。いきなりお金の話が出てきたので私は驚いていました。

 −− Aさんの運命が悪いのは先祖供養をしていないからということですね。しかし、法外な請求ですね。

 A氏 そうですね。半年間私が祈祷をしますと言うのですが、当時23歳のフリーターの人間にそんなお金を用意できるはずもありません。私は鑑定料だけを払って帰ってきました。

 −− また別の日に、Aさんは当時池袋にあった××寺という寺社へ鑑定を受けに行ったそうですが、どんな印象でしたか。

 A氏 寺社の名前でしたので、お寺かと思って行ったのですが、普通の4階建てのビルに××寺という看板が出ていて驚きました。エレベーターで4階の受付まで向かったのですが、中では修行中と思われる同世代の若い女性が、行者の着るような白い着物を着て乗っていました。

 −− 受付はどんな印象でしたか。

 A氏 病院の受付のようでした。名前を言ってから、鑑定料の3000円を支払いました。すると、部屋の名前を言われました。そこへ行ってくださいという感じです。部屋の名前は植物の名前のようでした。椿とか、すみれとか、そんな感じです。ドアを開けると、内部は和室の8畳間ほどの大きさでした。小さな文机が置かれており、60代の女性の鑑定士が座っていました。その机の向かい側に、私の座る座布団が置かれていました。

 −− さて、いよいよ鑑定ですね。どんな感じでしたか。

 A氏 私が女性に挨拶して、座布団に座るなり「貴方は頭の良い人だ」といきなり言うのです。前回は易学でしたが、ここは霊視鑑定ということでした。それから、女性の鑑定士が眼鏡の奥から怖い瞳で私をにらみつけました。何でも、「貴方は武家の出身で先祖がかなり人を殺している。貴方の運が悪いのは先祖が犯した罪のためだ。これらを解決するには先祖供養が必要である。貴方に100万円用意できますか」といきなり言ってきたのです。

 −− ここでも先祖霊の話ですか。しかも額は100万円ですね。これも法外です。Aさんはどんな対応をしたのですか。

 A氏 私はそんな大金を持っていませんと答えました。すると、鑑定士は怒ったような強い口調で「親類から借りられないのか。本当に用意できないのか」と言いました。私は驚きよりも、恐怖心の方が強かったのです。私は帰りますと言って、そこから逃げ出すようにして帰りました。

 −− また大変な経験をされましたね。その後二箇所とも、悪質霊感商法として警察に捕まっているそうですね。今回の霊感商法の言う先祖供養について、Aさんはどう思われましたか。

 A氏 これらの話は17年も前の話ですが、私はその後も波のある人生を歩んできました。後に二箇所から言われた先祖供養についての疑問が増して、自分なりに勉強をしました。その結果、先祖供養とは自分がお墓参りに行ったり、毎日仏壇にお水を供えて線香を立て、仏壇に手を合わせることで先祖供養になっていると思うようになりました。心の片隅に常に先祖のことを思う心があれば、先祖供養はしていることになるとある段階から分かりました。

 A氏はそう言うと、晴れ晴れした様な表情で満面の笑みを浮かべた。

(白井正雪)

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