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風邪から引きずる後遺症 肺機能が低下する「オトナの喘息」が危ない!(1)

 なかなか止まらない咳と息苦しさ。喘息は子どもの病気と思いがちだが、近年は大人にも増えている。「ぜーぜー」「ヒーヒー」といった症状がなく、アレルギー反応も無い非アトピー型が多いのが特徴だ。
 高齢者だと真っ先に心不全が疑われる怖い病気だが、風邪をきっかけに発症するケースも多い。中国から流れ込む大気汚染やインフルエンザが蔓延するこの時期、最も注意が必要。狭心症や脳梗塞にも繋がる可能性があるからだ。

 世界保健機構(WHO)と世界気象機関(WMO)が共同で、公衆衛生と気象に関する最新発表の報告書がある。その中で喘息の患者が世界で2億人を超え、増加の一途をたどっていることが明らかにされ、地球の温暖化の一因であるフロンガスや化学物質などの影響を示唆している。
 日本も当然、地球温暖化の影響をさまざまな形で受けているが、喘息患者の増加との因果関係も無関係ではないはず。しかし、大気の汚染物質やタバコの他に、花粉や吸入アルゲン、家ダニなど、我々の生活圏で発症する原因なども多く指摘されている。

 東京・目黒にある呼吸器科のクリニックには、中高年の患者がよく訪れる。たとえば60歳近い男性は、「環七道路に近いところに住んでいるから、排ガスの影響ですかね。近頃咳が止まらんし、息切れもするので…」と説明し、1秒間に吐ける空気の量は通常の40%にも届かない状態だった。
 同クリニック院長の田中毅医師は「高齢者の患者さんは、よく咳とともに“息切れ”を訴える。肺活量や肺機能の検査をすると、肺の奥の細い気管支がやられていることが多い。その男性も同じです」と話す。

 喘息は、適切な治療をせずに発作を繰り返すと、気管支の炎症部分が厚くなり回復しにくくなるという。
 また子ども喘息患者と比べ、大人の特徴は、前述した通り「ぜーぜー」「ヒューヒュー」という喘鳴(ぜんめい)が無く、ハウスダストやダニなどが引き起こすアトピー型でもない。そのため喘息が見過ごされてしまうケースもあるといわれる。

 国立病院機構相模原病院の耳鼻咽喉科の担当医によると、「旧国立病院時代の共同研究のデータでは、小児喘息の非アトピー型は4.8%だが、成人発症の喘息は45.9%が非アトピー型でした」と話す。
 つまり大人の喘息も、小児喘息と同様にアレルギー性はあるものの、僅か3分の1程度と少なく、アレルギーに対する免疫力(幼少期に体験している)が高いのかもしれない。
 「喘息はさまざまで、アレルギー鼻炎、副鼻腔炎などの合併が発症の元になっている場合もある。しかし、高齢者が“息苦しい”と訴えた場合、心不全をまず疑いますが、喘鳴がなかったり検査でアレルギー反応が無いと、ついつい風邪と決めつけ、喘息を見過ごしてしまうケースもあるんです」(前出・田中医師)

 風邪と喘息。微妙な関係にある一方で、風邪が引き金に喘息を発症するケースは少なくなく、注意が必要と別な専門家は言う。
 大人が風邪から発症した場合、よくある事例として、風邪は治ったのに「咳が続く」という“咳喘息”が多い。患者本人も「風邪が長引いているのだろう」と勝手に思い込み、また医療関係者も喘息を見逃し、症状を重くするケースがあるようだ。

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