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山口敏太郎の直言(2)「首都機能分散計画〜他国の核攻撃、原発テロに対抗すべし」

 今回の震災と原発問題で明らかになったことは、日本の人口も企業も、あまりにも首都圏に集中し過ぎているという点である。

 考えてみると、東京・神奈川・埼玉・千葉という首都圏だけで、人口が3千500万人を超えており、日本人の30%強が首都圏に居住しているのだ。この一極集中ぶりは異常と言うしかない。

 既に計画停電の余波もあってか、業務にならないベンチャー企業などが東京電力の圏外に脱出し始めており、はからずも企業の地方分散化が進みつつある。筆者は関西や名古屋周辺に顧客や友人がおり、よく訪問するのだが、震災以降は名古屋・関西の街が混雑しているように思えるし、岐阜県の某企業団地は東京を脱出したIT企業が入居し、たちまち埋まってしまった。

 さらに、筆者が参加した名古屋の震災トークライブには、東京を出てきたという人たちが少なからずいたし、名古屋の友人の情報によると、名古屋支店や関西支店を持つ企業の経営者たちが大挙して、支店に移動してきているという。また九州や沖縄は、東京から避難してきた芸能人で溢れている。

 もはや、人口と企業の一極集中は瓦解しつつあると言ってよいだろう。夏場において電力不足が予想される現状では、この傾向を国家戦略として活用し、首都機能の分散化をはかるべきである。

 今後も地震やテロによる原発危機が発生する可能性はあるだろうし、敵国の核攻撃も充分ありうることである。そうなった場合、首都圏に政治的、経済的な機能が集中した今のままでは、国家の存続そのものが危ない。そこで首都圏の節電の効果もあり、地方経済の活性化も期待できる、首都機能分散計画を提案したい。

 まずは省庁の分散化である。例えば文部科学省は長野県、宮内庁は京都府、経済産業省は大阪府、外務省は長崎県、厚生労働省は富山県、農林水産省は北海道という感じで、全ての省庁を各都道府県に割り振る。勿論、関係団体、下請企業、その家族もついて行くだろうから、ちょっとした民族大移動である。また、その都道府県に永く居過ぎると地元経済との癒着が始まってしまうだろうから、十年に一回ぐらいの国替えは必要であろう。

 中には他の省庁や企業と調整や打ち合わせをするのに、地方に所在しては困ると反論する向きもあるかもしれないが、飛行機と新幹線を使えば、県庁所在地ならば一日で移動できない事はない。数万人クラスの人間を移動させる省庁分散制は、ぜひ実施すべきである。

 さらに大学と企業の地方分散化も推進すべきである。すでにコマツNTCが品川にあった本社を富山県南砺市へ移転しているし、この震災を機会に追従する企業も続々と出つつある。この企業の地方移転を国としては、税制優遇でバックアップするのはどうだろうか。

 他にも大勢の学生を抱える大学の地方移転も税制優遇で推進してもらいたい。いや、もはや首都圏にこだわる企業や学校法人には、多大な課税を課して、地方移転せざるをえない状況に持っていくぐらいの荒療治をしないと、経済人の東京信仰はなくならないだろう。

 とにかく、江戸期の大名のお国替えのように、省庁、企業、学校という大勢の人間を付随して動く組織を、地方にスライドしていくことで、他国の核攻撃やテロ、地震による原発事故などが起因となった首都圏破壊というリスクを軽減できる。また、原子力に頼らない電力ライフの実現もしやすくなるだろうし、大量の人間が流れ込む事で、日本経済を支える地方経済の復興が可能になるだろう。

(山口敏太郎)

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