「オールスター第一戦(7月19日)の試合前に行われた総会で、統一球問題への憤りをあらためて示し、加藤良三コミッショナーへの不信任案がまとめられました。選手会の徹底抗戦はわかっていましたが、『ファンサービスの球宴前にキナ臭い話をしなくても…』というのが、経営陣側の意見です」(スポーツ紙記者)
この強硬姿勢の行く末は波乱を含んでいる。12球団“分裂”、果ては“1リーグ制”への伏線となるかもしれないのだ。
「加藤氏がコミッショナーでいる限り、選手会との対立は避けられません。渡辺恒雄巨人会長が王貞治待望論を主張したのも、そうした動きを察してのことです。王さんはやらないと思いますし、渡辺会長もそれをわかっていて、あえて口に出したのでしょう。王さんの名前を出すことで事態の収拾を図り、一部の球団オーナーサイドから出ている会長自身への待望論も、煙に巻こうとしているのです」(球界関係者)
一方、選手会には、次期コミッショナーに推したい本命がいる。元選手会会長・古田敦也氏(47)だ。
「'04年の近鉄球団消滅を思い出せばわかる通り、古田氏の政治力は歴代コミッショナーにも引けを取りません。選手会は自分たちの意見が通りやすい人を据えたいんですよ」(同)
選手会の要望が加藤退任だけではないのは、経営陣もお見通しだ。球界出身の知性派を迎えるのに異論はないものの、古田氏は近鉄・オリックスの合併騒動時に敵対した人物である。選手会側に近く「将来はプロ野球OBをコミッショナーにすべき」と考えている経営陣ですら抵抗がある。
「選手会が『古田待望論』のカードを切れば、各球団オーナーで構成される実行委員会は意見統一ができず、分裂へ向けて加速するでしょう。そうなれば、いよいよナベツネ“新コミッショナー誕生”、悲願の1リーグ制へというシナリオが現実味を帯びてきます」(ベテラン記者)
混乱は必至だ。