最大のテーマは6月末で任期が切れたコミッショナー問題。既に加藤良三氏(70)が3期目の再任に手を挙げていたが、パ・リーグ側が反発していたからだ。
とりわけ、楽天とオリックスは「加藤降ろし」の急先鋒を務め、日本プロ野球機構(NPB)が10月1日に一般社団法人に移行するのを好機ととらえ、球界の体質改善を図ったのである。
一般社団法人に移行すれば税の減免で恩恵を受ける見返りに、文科省などの監督を受け、毎年行政庁へ事業報告などの手続きが義務付けられる。野球賭博問題で揺れた大相撲がそうだったように、今後はプロ野球もガラス張りの経営、運営が求められることになる。
「その意味でも試金石になるのが、朝日新聞が報じた巨人が高橋由伸、阿部慎之助、内海哲也、野間口貴彦ら6選手と結んだ超過額27億円の契約金問題への対応と、週刊文春がすっぱ抜いた巨人・原監督が女性問題解決に元暴力団員に1億円を払った問題だった。その重要案件を加藤コミッショナーは議題に乗せなかったばかりか、議長を務めた中日・白井オーナーもスルー。会議後、取材陣は加藤コミッショナーに原監督の1億円事件について意見をただしましたが、加藤氏は『私からは何も言えない』の逃げの一手。こういったうやむやの体質に楽天とオリックスがブチ切れ、加藤氏の再任に最後まで反対したのです。楽天は近く三木谷浩史球団会長がオーナー復帰することになっており、パは三木谷氏を総大将にセ側と一線を画す行動を起こすのは避けられません」(スポーツ紙デスク)
パ側が現体制の自浄努力欠如にこだわったのは、この機会にコミッショナーの役割を明確化し、「定款及び野球協約の修正」を求めたかったからだ。
「三木谷会長が描いているのは、球団株式の上場なのです。巨人に匹敵する戦力や球場を整えるには巨大な資金がいり、それには株式の新規上場が手っ取り早くリスクも少ない。しかも、株式を公開すれば投資家や監督官庁の目が厳しくなり、不明瞭な会計処理などできない。スキャンダルに際しても株主代表訴訟の標的となり、経営陣はうやむやにできない。そこで楽天とオリックスは今回の巨人の不祥事に乗じて、野球協約を見直し、持ち株会社による球団株の上場や複数グループによる球団所有を可能にすべく軌道修正を図ったのです」(球界事情通)