FIFAランクはイタリアが9位、日本は47位。英国のブックメーカーの優勝オッズでもイタリアが26倍、日本は201倍。過去の対戦成績も3戦で1分2敗の相手だが、イタリアのサッカー事情を知り尽くしているザッケローニ氏だけに“大番狂わせ”の可能性も十分の試合といえるが…。
「実は、次期イタリア代表監督の座が懸かっているのです。現在アズーリ(イタリア代表チーム)を指揮するプランデッリ監督は、W杯ブラジル大会を最後に勇退の意思表示をしている。本大会が近付き、チームの士気を高めようとイタリアサッカー協会は2016年まで契約延長する発表をしましたが、そんなものは空手形。4強入りしなければ解雇でしょう。そこで次期監督候補に挙がっているのが、ザッケローニ氏なのです。イタリアリーグの“3強”ACミラン、インテル、ユベントスの全てで監督を経験しているザッケローニ氏の唯一の“弱点”が代表監督未経験だったことですが、長友をインテル、本田をACミラン、そして香川をマンチェスター・Uに送り出し、直近の試合でオランダに2-2、ベルギーを3-1と、きっちり結果を出したことで、それもクリアされています。日本がイタリアを破れば、ノー文句で決まり。これはザッケローニ監督自身の野望でもあります」(ミラノ在住のサッカージャーナリスト)
では日本とイタリアがベスト8を懸けて決勝トーナメント初戦で激突する可能性はどれほどなのか。これが天の采配というか、大アリなのだ。
まずは日本が入ったグループC。相手は名将ペケルマン監督率いるコロンビア(FIFAランク5位)、欧州予選で10試合4失点の堅守を誇るギリシャ(同10位)、そして世界屈指のストライカー、ドログバを擁するコートジボワール(同21位)。FIFAランクだけを見ると日本は最下位だが、ギリシャとコートジボワールは今まで一度も決勝トーナメントに進出したことはなく、日本と同じベスト16が最高成績のコロンビアは、16年ぶりの本大会出場。対してサムライブルーは、W杯では直近3大会のうち2度予選リーグを突破と、堅実性では抜けているのだ。
ブラジル、アルゼンチン、ドイツ、フランスといったビッグネームには弱いが、名前負けしない相手には強い。海外組が主流のザックジャパンは戦う前から相手を見下しており、今大会でもそれは同じ。
「グループCは横一線、ダンゴ状態です。日本の鍵は初戦のコートジボワールに勝つこと。最低でも引き分けに持ち込むことが条件。2戦目のギリシャは得点力に乏しく、くみしやすい相手。しかも試合会場となる高温多湿のナタルは日本人選手には慣れっこだが、ギリシャはヘトヘトになる。勝ち点3が計算できます。問題は得失点の差を考え、この試合で1点でも多くゴールを決めること。最後のコロンビア戦はドローで十分。そうなれば、日本は得失点差で予選1位通過ができますよ」(元日本代表のサッカー解説者)